英語学習

『ウィキッド ふたりの魔女』から「Defying Gravity」で英語を学ぼう!


はじめまして。当ブログ『ねことシネマ』へようこそ。今回から始まる「ミュージカル映画で音楽を学ぶ」シリーズの第1弾として、記念すべき最初に取り上げるのは映画『ウィキッド 2人の魔女』から「Defying Gravity」です。
この企画のあり方については過去記事を参照してください。

実は筆者自身、今年だけで映画館で45本ほど作品を鑑賞してきましたが、その中でも個人的に堂々の1位がこの『ウィキッド ふたりの魔女』です。何より、パート1の締めくくりで最高に盛り上がる場面が印象的で、最後に大合唱が入りつつ「to be continued」で次回に続く演出がなんとも素晴らしい。エンターテインメントとしては、ここまで観客の気持ちを高揚させる作品もそう多くはないと思っています。

その余韻がいまだに抜けず、つい口ずさんでしまうのが「Defying Gravity」です。歌自体の良さはもちろん、ストーリー展開の妙と相まって「作品を代表する1曲」に感じられるほどのインパクトがありました。今回の記事では、この曲を題材に英語学習の観点から文法や表現、イディオムなどを解説していきます。個人的にも、比較的理解しやすい英文フレーズが多い印象があり、「歌ってみたい!」という方も少なくないのではないでしょうか。ぜひ一緒に、ミュージカル映画の音楽を通して英語力を高めていきましょう!


「Defying Gravity」ってどんな曲?

「Defying Gravity」はミュージカル『ウィキッド (Wicked)』の劇中で歌われる楽曲で、主人公エルファバ (Elphaba) とグリンダ (Glinda) の関係を象徴するクライマックスの一つです。物語のテーマである「自己の信念を貫くこと」「世間の偏見や既存のルールを打ち破ること」が強く反映されており、曲の後半ではエルファバが重力を振り切るように空へと飛び立つ印象的なシーンが描かれます。

歌詞の中には、「何にも縛られずに自分らしく生きる」という大胆なメッセージが込められており、英語学習的にも「勢いのある単語」や「挑戦的なイディオム」が多数登場するのが特徴です。今回はそうした英語表現のエッセンスを一つひとつ紐解いていきます。ぜひご自身の学習に役立ててみてください。

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文法・イディオム解説

ここからは歌詞の一部を引用しながら、文法構造やイディオム、表現のニュアンスを整理していきます。著作権保護の観点から、歌詞全文の引用は避け、必要最小限のフレーズのみを掲載していますので、実際の曲や公式歌詞と照らし合わせながら読むのがおすすめです。

冒頭部分:助動詞+完了形の疑問表現


Elphaba, why couldn’t you have stayed calm for once?


Instead of flying off the handle?

  • why couldn’t you have stayed calm? 「なぜ一度くらい冷静でいられなかったの?」というニュアンスで、過去の出来事に対する後悔や非難を込めています。シンプルな “Why didn’t you stay calm?” でも通じますが、“couldn’t you have…” の形が強めの責めや「そうできたはずなのに」という含みを持たせます。
  • fly off the handle 「かっとなる」「激怒する」という意味の口語イディオム。斧の刃が柄(handle)から飛んでしまうイメージから来ていると言われます。日常でも“Don’t fly off the handle!”のように使われます。

I hope you’re happy の反復と皮肉


I hope you’re happy / I hope you’re happy now / I hope you think you’re clever

同じフレーズ “I hope you’re happy” が何度か繰り返されます。一見「あなたの幸せを願っている」と言っているようで、実は皮肉や責めを含んだ言い方になっているのがポイント。英語では、表面的な言葉と内心のギャップで皮肉を表すことが多いので、このフレーズの繰り返しから感じる微妙な「ズレ」を味わってみてください。


Elphie, listen to me…:口語的な省略表現


Elphie, listen to me, just say you’re sorry. You can still be with the Wizard…

  • just say you’re sorry 本来なら “Just say that you are sorry.” という文になるところを、口語表現では “that” や “are” が省略され、よりカジュアルな言い回しになっています。
  • what you’ve worked and waited for 「あなたが努力して待ってきたもの」を意味する関係代名詞の構造です。日常会話でも “This is what I’ve been waiting for!” などと使われる表現で、嬉しさや待望感を伝えるときに便利です。

エルファバの決意表明:I’m through with〜


Something has changed within me…


I’m through with playing by the rules of someone else’s game

  • I’m through with ~ing 「〜を終わりにする」「〜と決別する」という決意を表す言い回し。 例:I’m through with doing everyone’s chores for free.(みんなの雑用をタダでするのはもうやめた)
  • someone else’s game 「他の誰かが設定したルールや枠組み」を指す比喩的表現です。自分の意思ではなく、他者の価値観に従わされていた状況を表しています。

サビ:It’s time to try defying gravity


It’s time to trust my instincts, close my eyes and leap.


It’s time to try defying gravity.

  • It’s time to + 動詞原形 「〜する時が来た」という決意や強調を示す構文です。歌詞では「trust my instincts(直感を信じる)」「try defying gravity(重力に逆らうことに挑む)」という言葉で表れ、エルファバの前向きな姿勢を際立たせています。
  • defying gravity 文字通り「重力に逆らう」だけでなく、社会的制限や固定観念にも挑戦することを象徴的に示すフレーズです。

否定疑問:Can’t I make you understand…?


Can’t I make you understand? You’re having delusions of grandeur.

  • Can’t I make you understand? 「私があなたに分からせることはできないの?」という、いら立ちやもどかしさを含む疑問文。英語の日常会話でも “Don’t you get it?” のように否定疑問を使うことで、相手への苛立ちを表現することがあります。
  • delusions of grandeur 「誇大妄想」。自分を過大評価している人を冷ややかに指すときによく使われます。

決意再強調:I’m through accepting limits


I’m through accepting limits / ’Cause someone says they’re so…


But ’til I try, I’ll never know

  • ’cause = because / ’til = until 歌や会話ではしばしば見られる口語的な省略形です。書き言葉としては少しカジュアルな印象を与えます。
  • But ’til I try, I’ll never know 「試してみるまで決してわからない」。Ifを使わずに省略形で書かれていますが、意味としては “If I don’t try, I’ll never know.” と同じです。

I’d sooner〜:比較構文の活用


I’d sooner buy defying gravity, kiss me goodbye


I’m defying gravity…

  • I’d sooner + 動詞 「むしろ〜したい」「〜する方がましだ」というニュアンスを持つ表現です。歌詞では「私はむしろ“重力を打ち破る”ほうを選ぶ」という決断をドラマチックに表しています。
  • pull me down 歌詞中で「誰にも私を引きずり下ろせない」という強い意志を示すフレーズが繰り返されます。社会の圧力や否定的な声があっても揺るがない姿勢が印象的です。

Unlimited / Together, we’re unlimited


Unlimited / Together, we’re unlimited…

  • we’re unlimited 「私たちは無限の可能性を持っている」という力強い肯定です。作品中では、エルファバとグリンダの協力が大きなテーマになっており、二人なら何でもできるという勢いを感じさせます。
  • the greatest team there’s ever been 「これまでで最高のチーム」。直訳すれば “the greatest team [that] there has ever been” となり、最上級的な強調表現です。

I hope you’re happy in the end:同フレーズの意味変化


I really hope you get it…


I hope you’re happy in the end

先ほど「I hope you’re happy」は皮肉混じりで使われていましたが、ここでは最後に相手の幸せを心から願うような文脈へ変化しています。英語では同じ言葉でも前後のシーンや感情によって印象が大きく変わるので、こうしたリフレインの意図を味わうのも面白いポイントです。


if you care to find me / Look to the western sky


So if you care to find me, look to the western sky…

  • この曲の1番の鳥肌ポイントです!!
  • if you care to + 動詞 「もし〜したい(する気がある)ならば」という丁寧な表現です。歌詞の中では、エルファバを探したいなら西の空を見なさい、というニュアンスで使われています。
  • Look to the western sky 彼女は「西の悪い魔女 (The Wicked Witch of the West)」として語り継がれますから、ここで「西」を強調するのが物語的にも象徴的です。

flying solo / flying free:孤独と自由


And if I’m flying solo, at least I’m flying free

  • flying solo 「1人で飛ぶ=孤立している」様子を表す比喩です。
  • flying free 「自由に飛ぶ」。たとえ孤立していても、自分自身の意志で羽ばたく姿勢を肯定的に描いています。

nobody in all of Oz:強い否定表現


And nobody in all of Oz / No Wizard that there is or was / Is ever gonna bring me down

  • nobody / no wizard 否定語が連続することで、誰一人としてエルファバを引きずり下ろせないという強烈な主張が際立ちます。
  • is ever gonna bring me down “gonna” は “going to” の口語形でカジュアルな響きですが、「絶対に屈しない」という強い決意が伝わってきます。

その他の単語やイディオム

上記でカバーしきれなかった単語・熟語をいくつか挙げます。

  • grovel 「卑屈になる」「平身低頭する」。比較的フォーマル寄り・やや強い語感があります。
  • ambition 「野心」。ポジティブにもネガティブにも使える単語で、文脈次第です。
  • instincts 「本能、直感」。Trust my instincts(自分の直感を信じる)は会話でもよく使われるフレーズ。
  • tandem “in tandem” で「二人三脚で」「同時に」。If we work in tandem, we can… のような表現が典型です。
  • renown 「名声、著名」。ややフォーマルな単語で、日常会話では fame のほうが一般的。

文化的背景・テーマ

  • 『ウィキッド』と『オズの魔法使い』 『ウィキッド』は名作『オズの魔法使い』の前日譚的ストーリーで、エルファバとグリンダが学生時代に出会い、友情と対立の中で成長していく物語です。歌詞には “Wizard,” “Oz,” “western sky” など、原作を意識させる用語が多数登場します。
  • 「飛ぶ」ことの象徴性 “defying gravity” は単に魔女がほうきに乗って飛ぶだけでなく、「社会や運命による束縛から自由になる」というメタファーとしての意味合いが大きいです。舞台でもエルファバが宙へ舞い上がる演出が視覚的なクライマックスになっています。
  • 皮肉から生まれる感情の変化 前半は皮肉や怒りをこめて繰り返された “I hope you’re happy” が、後半になると相手を思う言葉として響くようになり、作品全体の感情の振れ幅を感じさせます。英語学習の面でも、同じフレーズが文脈でどう変化するかを知るのはとても勉強になります。

日常会話での応用例

歌詞に登場したイディオムや表現を、もう少しカジュアルなシーンで使うとどうなるか、例文をいくつかご紹介します。

  1. fly off the handle
    • Don’t fly off the handle just because they disagreed with you.
    • (意見が合わなかっただけで、そんなにかっとしないで。)
  2. **I’m through with ~**
    • I’m through with doing everyone’s chores for free.
    • (みんなの雑用をただでやるのはもうやめた。)
  3. defy
    • She decided to defy all expectations and start her own company.
    • (彼女は周囲の予想を覆して自分の会社を始めることにした。)
  4. delusions of grandeur
    • He started acting like a CEO even though he’s just an intern—talk about delusions of grandeur!
    • (彼はただのインターンなのにCEOみたいな振る舞いを始めた…誇大妄想もいいところだね!)
  5. if you care to + 動詞
    • If you care to join us, we’ll be at the café around the corner.
    • (もしよろしければご一緒に。私たちは角のカフェにいますよ。)

まとめ

「Defying Gravity」は、ただ“重力に逆らう”だけでなく、「既存のルールを打ち破り、自分の信じる道へ飛び立つ」という意志を象徴する歌です。助動詞 + 完了形や否定疑問、口語的省略(’cause, ’til, gonna)など、英語の文法や表現方法を学ぶ上でも興味深い要素が満載。さらに、同じフレーズが物語の進行とともに意味合いを変えていく点は、英語特有の皮肉表現や強調技法を学ぶのにとても役立ちます。

私自身、今年観た映画のなかでも『ウィキッド ふたりの魔女』は特に印象的で、パート1の終盤が最高に盛り上がる構成には脱帽しました。あまりの感動で、今でも「Defying Gravity」を口ずさんでは思い出に浸ってしまうほどです。「自分も英語で歌ってみたい」と思う方は、ぜひこれを機に歌詞の背景や英語表現を学びながら繰り返し聴いてみてください。単語やフレーズが心と頭にしっかり定着するはずです。


『ウィキッド ふたりの魔女』Blu-ray & DVD情報

さて、そんな『ウィキッド ふたりの魔女』のブルーレイ&DVDが、いよいよ7月30日に発売されます。(発表されるのを待ってました...!)すでに予約がスタートしていて、Amazonなどでも4K UHD版を含む各種エディションを選択可能です。

  • スチールブック版 or 4K UHD版? スチールブックはコレクター性が高く、見た目も凝っているため人気があります。ただ開封や保管に少し気を使う場面もあるので、気軽に何度も観たい方は通常版か4K UHD版を選ぶ人が多い印象です。
  • 物理メディアの魅力 配信が主流になりつつある時代ですが、作品を手元に残したいという気持ちや、特典映像を重視する方も決して少なくありません。特に音質や映像のクオリティを求めるなら、やはりディスク再生が強いという声も多いです。

私も今回は通常版の4K UHDをAmazonで予約しました。好きなシーンを繰り返し観ながら英語表現を確認し、さらに大音量で曲を楽しむ──その贅沢さは配信にはない魅力ではないでしょうか。

ぜひ興味があれば、Amazonなどでチェックしてみてください。何度も「Defying Gravity」を聴きたい方や、「Popular」などその他の名曲も含めて楽しみたい方は、 Blu-rayやDVDを持っておくと学習面でも非常に便利ですよ。

【Amazon.co.jp限定】ウィキッド ふたりの魔女 4K UHD + ブルーレイ セット(A3ビジュアルシート3枚セット付) [Blu-ray]

  • 配信も予定されていますが、やはりBDで迫力のあるサウンドを楽しみたい!!
  • 特典映像も多数収録されるとのことなので、それだけでも買う価値ありですね。
  • Part2公開前の復習としてもどうぞ!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。ミュージカル映画の曲で英語を学ぶ楽しさを、より多くの方に感じていただければ幸いです。きっと、「もっと色々なミュージカル作品を通して英語表現を学びたい!」という気持ちになるはず。

この曲の力強いメッセージを味わいながら、ぜひワクワクした気持ちで英語を学んでみてください。自分の直感を信じて、今までの慣習や固定観念を飛び越えていく──そんなエルファバの姿が、あなたの学習意欲を高めるきっかけになれば嬉しいです。

  • この記事を書いた人

HAL8000

映画と猫をこよなく愛するブロガー。 多いときは年間300本以上の映画を観ていて、ジャンル問わず洋画・邦画・アニメ・ドキュメンタリーまで幅広く楽しんでいます。

専門的な批評はできませんが、ゆるっとした感想を気ままに書くスタンス。 ブリティッシュショートヘア×ミヌエットの愛猫ハルも自慢したいポイントで、レビューの合間に猫写真や日常もたまに紹介しています。

当ブログ「ねことシネマ」で、映画好き&猫好きの皆さんに楽しんでいただけると嬉しいです。
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