映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』基本データ
- 原題: Avengers: Endgame
- 監督: アンソニー・ルッソ、ジョー・ルッソ
- 主要キャスト:
- ロバート・ダウニー・Jr(トニー・スターク / アイアンマン)
- クリス・ヘムズワース(ソー)
- マーク・ラファロ(ブルース・バナー / ハルク)
- クリス・エヴァンス(スティーブ・ロジャース / キャプテン・アメリカ)
- スカーレット・ヨハンソン(ナターシャ・ロマノフ / ブラック・ウィドウ)
- ベネディクト・カンバーバッチ(ドクター・ストレンジ)
- トム・ホランド(ピーター・パーカー / スパイダーマン)
- チャドウィック・ボーズマン(ティ・チャラ / ブラックパンサー)
- ジョシュ・ブローリン(サノス)
- クリス・プラット(ピーター・クイル / スター・ロード)
- ゾーイ・サルダナ(ガモーラ)
- ほか多数
- 公開年: 2019年
- 上映時間: 181分
- 主な受賞・ノミネート歴:
- 第92回 アカデミー賞(2020年) 視覚効果賞 ノミネート など
- 視聴方法(2025年6月現在):
この記事でわかること
- MCU「インフィニティ・サーガ」オーケストラコンサートの感動的な体験レポート
- 『アベンジャーズ/エンドゲーム』が単なるアクション大作ではなく「重厚な人間ドラマ」である理由(※ネタバレあり)
- 10年間の物語を完結させる、トニー・スタークとスティーブ・ロジャースの対照的な結末の巧みさ
- ヒーローたちの過去への旅が、物語の感動をいかに深めているか
- ヒーロー映画の常識を覆す、ロマンチックで美しすぎるエンディングの魅力
はじめに
こんにちは。当ブログ『ねことシネマ』へようこそ。 数ある映画ブログの中から、この記事を見つけてくださって本当に嬉しいです。
今回は、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のひとつの時代に、壮大な終止符を打った映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』について、改めて語りたいと思います。
実は、先日開催されたMCU「インフィニティ・サーガ」のオーケストラコンサートの横浜講演に参加してきたんです。これがもう、最初の『アイアンマン』から本作までを音楽で振り返る、まさに至福の体験でして…。この感動を胸に、やはりこの2作は外せないだろうと『インフィニティ・ウォー』と『エンドゲーム』を改めて鑑賞した次第です。
私自身、この映画は公開初日と翌日に劇場で鑑賞し、「エンターテイメントとして、これ以上の作品は存在しないのではないか」と感じるほどの衝撃を受けたことを鮮明に覚えています。
今回の記事では、作品の核心に触れる【ネタバレあり】で、その魅力を存分にお伝えします。というのも、ネタバレなしではこの映画の奥深さは到底語り尽くせないからです。これからお話しするのは、あくまで私個人の感想と、少しばかり調べた情報に基づく解釈ですが、この壮大な物語の結末を、皆さんと一緒に改めて味わうことができれば幸いです。
あらすじ
※以下、ネタバレを多く含みますのでご注意ください。
前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で、宇宙最強の敵サノスに敗北を喫したアベンジャーズ。ヒーローたちを含め、全宇宙の生命の半分が「指パッチン」によって消し去られてしまいました。
残されたトニー・スターク、スティーブ・ロジャース、ソー、ナターシャ・ロマノフ、ブルース・バナー、クリント・バートンたちは、深い喪失感と絶望に打ちひしがれます。しかし、量子世界から奇跡的に帰還したアントマンがもたらした「タイムトラベル」という僅かな希望に懸け、彼らは再び集結。失われた仲間と世界を取り戻すため、そして宇宙に均衡を取り戻すため、過去のインフィニティ・ストーンを巡る壮大な「タイム泥棒」作戦と、史上最大の戦いにその身を投じるのでした。

作品の魅力
まずは余談から…圧巻だった「インフィニティ・サーガ・コンサート」
少し本題から逸れますが、今回の再鑑賞のきっかけとなったコンサート体験について、どうしても触れさせてください。
この「マーベル・スタジオ・インフィニティ・サーガ・コンサート」、期待をはるかに上回る素晴らしい体験でした。以前、『ラ・ラ・ランド』のシネマオーケストラにも参加したことがありますが、今回はその感動をさらに超える迫力に、冒頭から鳥肌が止まりませんでした。
特に印象的だったのが、観客全員に配られた光るブレスレットです。これが劇中のシーンに合わせて様々な色に光り、会場の一体感を高めていました。例えば、ソーが雷を操るシーンでは青白く激しく明滅し、キャプテン・アメリカの登場シーンでは星条旗を思わせる三色に輝くのです。私は3階席から眼下に広がる光の海を眺めることができ、その美しさに心から感動しました。
そして、コンサート後半、『エンドゲーム』のパートで、ナターシャ・ロマノフ(ブラック・ウィドウ)の死のシーンが流れた時のことです。映画本編では比較的あっさりと描かれるこの場面ですが、コンサートでは彼女の人生を振り返る長い回想シーンが特別に挿入されていました。まだ公開されていなかった単独映画『ブラック・ウィドウ』の映像も使われ、エレーナたち家族との思い出が壮大な生演奏と共に映し出される光景は涙なしには見られず…。このコンサートでしか味わえない、本当に特別な体験でした。もし再演の機会があれば、心の底からお勧めします。

アクション大作の皮を被った、重厚な人間ドラマ
さて、本題の『エンドゲーム』です。アベンジャーズシリーズ4作品の中で、私が本作を一番好きな理由は、クライマックスのカタルシスだけではありません。むしろ、本作の本当の魅力は、上映時間の大部分を占める「人間ドラマ」にあると感じています。
前作『インフィニティ・ウォー』が、サノスとヒーローたちのインフィニティ・ストーンを巡る攻防戦をノンストップで描いたのに対し、『エンドゲーム』は一度敗北したヒーローたちが、いかにして再び立ち上がるかという内面的な葛藤に焦点を当てています。
本作の構成について少し調べてみると、面白い指摘がありました。それは、この3時間の映画が、それぞれ異なるジャンルの映画が1本になったような、巧みな三部構成になっているというものです。
- 第1幕(約0〜60分):終末世界の哀歌 5年後の世界を描く冒頭1時間は、ヒーローたちが敗北のトラウマを抱えて生きる姿を丹念に映し出す、静かで重苦しい人間ドラマです。この丁寧な「積み重ね」があるからこそ、後の希望と勝利がより一層輝きを増すのだと感じました。
- 第2幕(約60〜120分):タイム泥棒(タイム・ハイスト) 雰囲気を一変させ、過去のMCU作品を巡る強盗映画へと移行します。このパートは単なるプロットの推進力ではなく、ヒーローたちが過去の自分や後悔と向き合うための、重要な時間として機能しています。
- 第3幕(約120〜181分):カタルシスの猛攻 そして、ファンが待ち望んだすべてが凝縮された、怒涛のクライマックスです。
ヒーロー映画=アクションという先入観を覆して、完結編でここまでオリジナルメンバーのドラマにじっくりと時間を割いてくれた構成は、私にとって、まさに理想的でした。
ヒーローたちの終着点:対照的な運命と、完璧な幕引き
この映画がこれほどまでに私たちの心を打つのは、10年以上かけて愛してきたヒーローたちの物語に、完璧な終着点を与えてくれたからに他なりません。
特に、MCUの二本柱であったトニー・スタークとスティーブ・ロジャースの物語を、まるで鏡合わせのように対照的に完結させた手腕には、ただただ感服するばかりです。
- トニー・スターク(アイアンマン):自己中心から自己犠牲へ かつて「私がアイアンマンだ」と傲慢に宣言した男が、家族を得て、その幸福を守るために戦うことをためらいます。そして最後には、全宇宙を救うため、すべてを犠牲にして「私がアイアンマンだ」と告げる。自己中心的な天才が、究極の自己犠牲を学ぶという、彼の旅路の完璧なゴールでした。
- スティーブ・ロジャース(キャプテン・アメリカ):自己犠牲から自己実現へ 常に自分の幸福を二の次にしてきた「時代に取り残された男」が、すべての義務を果たした後、初めて自分のための人生を選びます。公の英雄としてではなく、一人の人間として愛する人と生きることを選ぶ。無私な男が、ついに個人の幸福を掴むという、彼の人生に対する最高のアンサーでした。
この二人の物語が、まるで合わせ鏡のように見事な反転構造で着地する。これこそが、『エンドゲーム』という物語の心臓部なのだと、私は思っています。


また、個人的には、ヒーローたちがタイムトラベル先で過去の人物と再会するシーンの一つひとつに心を揺さぶられました。トニーが若き日の父ハワードと、ソーが亡き母フリッガと、それぞれが抱える後悔や心のわだかまりを解消していく。これらの丁寧な描写が、最後の戦いをより感動的なものにしているのです。
計算され尽くしたカタルシスと、魂が震えるクライマックス
もちろん、ヒーロー映画としての見せ場も完璧です。 スティーブがムジョルニアを手に取る瞬間。そして、サムの「On your left.(左から失礼(左を見ろ))」という声を合図にポータルが開き、ヒーローたちが続々と集結するシーン。
この間の取り方、アラン・シルヴェストリによる音楽の盛り上げ方は、これ以上ないほど計算され尽くされており、まさに天才の仕事だと感じました。
ところで、このクライマックスシーンを劇場で観たとき、日本人特有の文化のようなものを感じたことも思い出深いです。おそらく、劇場にいた誰もが声を上げたいほど興奮していたはずです。私も鳥肌が止まらず、一人で観ていたら間違いなく叫んでいたでしょう。しかし、場内は水を打ったように静かで、誰もが一言も発さずスクリーンを見つめている。もちろん、静かに集中できるのは素晴らしいこと。でも、あの伝説の「アッセンブル!」のシーンで、声を押し殺してスクリーンを見つめる一体感…。あれはあれで、日本の劇場ならではの忘れられない体験かもしれませんね。皆さんは、思わず声、出ちゃいませんでしたか?
ヒーロー映画の常識を超えた、美しすぎるエンディング
そして、この映画を特別なものにしているのが、その終わり方です。 激しい戦いの後、スティーブはインフィニティ・ストーンを元の時代に返す旅に出ます。そして、そのまま過去に留まり、愛したペギー・カーターと、かつて約束したダンスを踊るのです。
1作目『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』からの美しい伏線回収であると同時に、ヒーロー映画とは思えないほどロマンチックで、大人びたエンディングです。これまでのMCU作品が、次への期待を煽る形で終わってきたのに対し、『エンドゲーム』は明確に「ここで一つの物語は終わりです」と告げている。その潔さとセンスに、私は完全に魅了されました。
『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』でヴィジョンが語った「A thing is not beautiful because it lasts(美しいものは、永遠だから美しいのではない)」というセリフがあります。本作のほろ苦くも美しい結末は、まさにこの言葉を体現しているかのようです。『エンドゲーム』が美しいのは、それが「終わり」であるからなのかもしれません。
まとめ
『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、MCUファンにとって最高のご褒美であると同時に、ヒーローたちの内面に深く切り込んだ、重厚な人間ドラマでした。
コンサートをきっかけに再鑑賞しましたが、その感動は少しも色褪せることなく、むしろ年を重ねるごとに深まっていくようにさえ感じます。10年以上にわたって紡がれた物語に、これ以上ないほど誠実で、感動的な終止符を打ってくれた作り手たちには、感謝しかありません。
次なるアベンジャーズの公開は延期され、今のMCUがこの興奮を超えることができるのか、ファンとしては期待と不安が入り混じるところです。しかし、各作品で広げられた物語をどう紡いでいくのか、これからも見守っていきたいと思っています。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』は、いつ観ても、何度観ても、私たちに勇気と感動を与えてくれる不朽の傑作です。この壮大な物語の結末を、ぜひ確かめてみてください。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。この感想が、あなたが『エンドゲーム』という作品をより深く味わうための一助となれば幸いです。あなたはこの映画のどんなところが好きですか?ぜひコメントで教えてください!
- IMDb『アベンジャーズ エンドゲーム』
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