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【ネタバレあり】90年代ロマコメの異色作!『ベスト・フレンズ・ウェディング』の魅力を徹底解説

映画『ベスト・フレンズ・ウェディング』基本データ

  • タイトル:『ベスト・フレンズ・ウェディング』(原題:My Best Friend’s Wedding)
  • 公開年:1997年
  • 監督:P・J・ホーガン
  • 出演
    • ジュリア・ロバーツ(ジュリアン・ポーター)
    • キャメロン・ディアス(キンバリー・ウォーレス)
    • ダーモット・マローニー(マイケル・オニール)
    • ルパート・エヴェレット(ジョージ・ダウンス) ほか
  • 上映時間:104分
  • 主な評価・受賞歴
    • ジュリア・ロバーツ、ルパート・エヴェレットがゴールデングローブ賞にノミネート
    • 大ヒットを記録し、世界的に高い興行収入を収める
  • 視聴方法:DVD・Blu-ray、各種配信サービスなどで視聴可能

この記事でわかること

  • 映画『ベスト・フレンズ・ウェディング』のあらすじや個性的な魅力
  • 90年代ロマンティック・コメディらしい演出や文化的背景
  • 「意外性のある結末」と主人公の行動をどう見るか
  • バラエティ誌の「All Time映画ベスト100」にまつわるエピソードと筆者の率直な感想

はじめに

こんにちは。当ブログ『ねことシネマ』へようこそ。今回取り上げるのは、P・J・ホーガン監督のロマンティック・コメディ映画『ベスト・フレンズ・ウェディング』です。公開当時(1997年)、ジュリア・ロバーツとキャメロン・ディアスの競演が話題となり、世界的にも大ヒットを記録しました。

実は私、この作品を観るきっかけが海外メディア「バラエティ誌」の「The 100 Greatest Movies of All Time」リストでした。名だたるクラシック作品――『サイコ』『オズの魔法使』『ゴッドファーザー』などと並んで、なぜか本作が71位にランクインしていて、「そんな高評価なら観なきゃ!」と興味を持ったんです。

とはいえ、観終わったあと正直なところ、「退屈ではないけれど、あの不朽の名作たちと肩を並べるレベルかな?」と少し首をかしげたのも事実。それでも、笑いと切なさが混在する独特のテイストには惹きつけられ、90年代ロマコメには珍しい結末に驚かされたのも確かです。ここでは、あらすじからキャラクターの魅力、当時としては挑発的ともいわれたエンディングまで、私なりの目線で語ってみたいと思います。


あらすじ

料理評論家のジュリアン(ジュリア・ロバーツ)は、かつて交際していた元ボーイフレンド、マイケル(ダーモット・マローニー)から久々に電話を受けます。ふたりは別れた後も親友として連絡を取り合い、「28歳までにお互い独身だったら結婚しよう」という取り決めまでしていました。しかし今回、マイケルが報告したのは「今週末に結婚する」という衝撃的なニュース。相手は20歳の女子大生・キミー(キャメロン・ディアス)で、彼女の父親は大富豪です。

その瞬間、ジュリアンは自分がまだマイケルを愛していることを自覚し、彼の結婚を阻止しようと奔走。数日後に行われる結婚式であの手この手を企てるものの、婚約者キミーの愛らしさと寛容さに触れるたび、やきもきが止まりません。ゲイの編集者ジョージ(ルパート・エヴェレット)もジュリアンを見守りながら「自分らしさを取り戻す」よう助言を送りますが、彼女はさらに大胆な作戦に出てしまいます。はたしてマイケルとキミーの結婚式はどうなるのか。そして、ジュリアンはどんな結末を迎えるのでしょうか――。

90年代当時、「ヒロインが恋を実らせないストーリー」はまだ珍しかったらしく、公開当初は驚いた観客が多かったそうです。とはいえ今の視点で見ると、「なるほど、そういう着地もアリかも」と受け止められる部分もあり、本作ならではのややビターな味わいが魅力のひとつになっています。


作品の魅力

ここでは、ストーリーの構成やキャラクター造形、音楽、さらには本作がどう社会的・文化的背景を反映しているのかをまとめつつ、筆者の個人的な視点も交えてご紹介します。

“型破り”なストーリー構成とコメディとしての安定感

ロマンティック・コメディといえば、基本的にハッピーエンドが王道ですよね。しかし『ベスト・フレンズ・ウェディング』の主人公は、まさかの“親友の結婚をぶち壊しにかかる”というちょっと危険な立ち位置。最終的にヒロインが自分の恋を諦める形で締めくくられるのも、当時の常識をひっくり返す新鮮な展開でした。

  • 物語の期間がわずか4日間
    結婚式直前の4日間でドタバタと進行するため、テンポが良く退屈しません。
  • ハッピーエンドの固定観念を覆す
    ヒロインが未熟さを痛感しながら身を引く展開は、90年代当時としてはかなり挑戦的でした。

もっとも、今の目で見ると「そういう終わり方もアリだね」と落ち着いてしまうかもしれません。ただし、妨害工作の過激さに「そこまでやる!?」とちょっと引いてしまう人もいるかも……。この辺りのモラル的ハラハラ感が本作の面白さでもあります。

ヒロインの是非を問いかけるキャラクター造形

ジュリア・ロバーツ演じるジュリアンは、自己中心的で、やきもちをこじらせ、明らかにダメな方向へ突き進む……ロマンティック・コメディのヒロインとしてはかなり異色の存在です。それでもロバーツのスター性とコメディエンヌぶりのおかげか、観客はどこか憎みきれない気持ちを抱かされます。

  • キミー(キャメロン・ディアス)との対比
    キミーは若くて可愛らしく、ちょっと世間知らずな一面もありますが、周囲への心遣いを惜しまない好人物。しかもカラオケで恥をかかされても笑顔で乗り越える強さまで持っていて、最終的には「ジュリアンよりキミーを応援したい…」と思わせる魅力的なキャラクターに仕上がっています。
  • ジョージ(ルパート・エヴェレット)の存在感
    ヒロインを正気に引き戻す役割を担う、ゲイの編集者ジョージのユーモアと温かさは作品全体の癒やしです。“ドロドロ”に転びがちな展開の中、彼が優しく諭すシーンは「そこ! もうちょっと冷静になって!」という観客の気持ちを代弁してくれるかのよう。

三角関係を超えた“四人”それぞれの思惑が絡むことで、物語がただのロマンティック・コメディにとどまらず深みを増しています。ただ、ジュリアンの行動を許容できるかどうかで、この映画の評価がガラッと変わるかもしれません。

“90年代らしさ”溢れる演出と軽快な音楽

舞台は夏のシカゴ。ファッションやメイク、ホテルや披露宴会場の華やかなデコレーションなど、画面に映るすべてが「90年代っぽい!」と感じさせるものばかりです。

  • 名曲「小さな願い (I Say a Little Prayer)」をはじめとするサウンドトラック
    レストランでの突然の合唱シーンは、本作を象徴する名シーン。ミュージカル調の盛り上がりに、ついこちらもニコニコしてしまいます。
  • 結婚式のドタバタとコミカルな演出
    結婚式当日に主人公が全速力で走り回る姿や、同時進行で電話をかけ合うカット割りなどは「ハラハラするのに笑っちゃう」独特の空気感があり、これぞロマンティック・コメディの醍醐味、と感じる方も多いでしょう。

音楽面ではジェームズ・ニュートン・ハワードによるスコアも見逃せません。軽快なコメディ音から、せつないラブシーンに寄り添う旋律まで、登場人物たちの心模様を緻密に彩っています。エンドロール前のシーンでしっとり流れる「The Way You Look Tonight」は、ジュリアンの切なくも少し晴れやかな表情と相まって、本作ならではの“ビター・スウィート”な余韻を残していきます。

文化的背景と“期待とのギャップ”

ロマンティック・コメディが大量生産されていた90年代のハリウッドの中でも、“ヒロインの失恋エンド”という形で差別化を図っていた作品です。批評家の間では当時かなり話題になりましたが、今見ると逆に「キミーが本当にこれで良いのかな?」「マイケルってどこまで優柔不断なんだ?」と、現代ならではの疑問が湧いてくる面も。

個人的には、バラエティ誌の「All Time映画ベスト100」で71位に入っていること自体に驚きました。『サイコ』や『ゴッドファーザー』と肩を並べる名作かと言われると、ちょっと首をかしげる部分もあるのですが……やっぱり評価というのは時代や観る人の目線で変わるもの。そうした“評価のブレ”も、この映画の魅力だと思います。


まとめ

『ベスト・フレンズ・ウェディング』は、ロマンティック・コメディらしい軽やかさと、ヒロインのなかなか黒い策略が同居する不思議な作品です。カラフルな90年代の雰囲気や音楽が楽しい一方で、「ちょっと待って、本当にこの結末でいいの?」と問いかけてくるような側面もあるんですよね。

私自身、「バラエティ誌で71位って、相当すごいのでは?」と期待値を盛り上げすぎたせいか、「いや、そこまで刺さらなかったな…」というのが本音でした。ただ、ジュリア・ロバーツとキャメロン・ディアスの掛け合いはやはり華やかで、90年代映画好きにはたまらない一本だと思います。

「休日にちょっとゆるめのコメディを観たい」「90年代の空気感が恋しい」という方には、まさにぴったりな作品。観終わったあとは、やや苦くも暖かい気持ちに包まれる“ビター・スウィート”な後味をぜひ楽しんでみてください。

  • IMDb『ベスト・フレンズ・ウェディング』
    キャストやスタッフの詳しい情報、ユーザーからの評価やレビューなどが充実しています。英語サイトですが、作品の撮影秘話やTrivia(トリビア)も多く、さらに深く知りたい方にはおすすめです。
  • この記事を書いた人

HAL8000

映画と猫をこよなく愛するブロガー。 多いときは年間300本以上の映画を観ていて、ジャンル問わず洋画・邦画・アニメ・ドキュメンタリーまで幅広く楽しんでいます。

専門的な批評はできませんが、ゆるっとした感想を気ままに書くスタンス。 ブリティッシュショートヘア×ミヌエットの愛猫ハルも自慢したいポイントで、レビューの合間に猫写真や日常もたまに紹介しています。

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