映画『パディントン 消えた黄金郷の秘密』基本データ
- タイトル: 『パディントン 消えた黄金郷の秘密』(原題: Paddington in Peru)
- 日本公開: 2025年5月9日
- 監督:ドゥーガル・ウィルソン(前2作のポール・キング監督から交代)
- 出演:
- ベン・ウィショー(パディントン)
- ヒュー・ボネビル(ブラウンさん)
- エミリー・モーティマー(ブラウン夫人)
- アントニオ・バンデラス(ハンター・カボット)
- オリビア・コールマン(老グマホーム院長)
- カルラ・トウス(ジーナ・カボット)
- ジュリー・ウォルターズ(バードさん) ほか
- 上映時間: 107分
- 主な受賞・評価:
- Rotten Tomatoes批評家支持率 90%越え
- CinemaScore(米国観客満足度)では「A」評価
- 視聴方法: 全国劇場で公開中
この記事でわかること
- 最新作『パディントン 消えた黄金郷の秘密』のあらましと基本情報
- 舞台がロンドンからペルーに移ったことで生まれた新たな魅力と冒険要素
- 前2作と比較したときの良さと、やや物足りなさを感じる点
- 監督交代や舞台転換がもたらす“シリーズ外伝”的な印象
- 映画館で観る価値、特に字幕版を巡る個人的な思い入れ
はじめに
こんにちは。当ブログ『ねことシネマ』へようこそ。
今回は、2014年の第1作と2017年の第2作で世界中のハートをつかんだ、あの“クマ紳士”の物語をご紹介します。シリーズ3作目となる『パディントン 消えた黄金郷の秘密』が、ついに日本でも公開されました。
実は私、前2作が大のお気に入りで、どちらもBDで字幕版を何度も観返したほど。紳士的ながら少しドジなパディントンが巻き起こす騒動を、ブラウン一家がほのぼのと支えてくれるあの世界観が本当に大好きなんです。
ところが今回、公開初日にレイトショーで字幕版を観ようと思ったら、なんと上映回数が極端に少ない劇場が多く、探すのにひと苦労。同日から『鬼滅の刃 無限列車編』リバイバル上映なども始まっていた影響でしょうか……少し残念に感じながらも、無事に鑑賞してまいりました。
この記事では、私個人の感想を交えながら、『パディントン 消えた黄金郷の秘密』の魅力をライトにご紹介していきたいと思います。前2作との比較ポイントや、ちょっとだけ感じた惜しさ、そして劇場で観る価値など、いろいろ語っていきますので、ぜひ最後までお付き合いください。

あらすじ
パディントンは“育ての家族”であるブラウン一家(ヘンリー、メアリー、子どもたちのジュディ&ジョナサン、そして家政婦のバードさん)と一緒に、故郷ペルーへ向かいます。老クマホームで暮らすルーシーおばさんに会いに行くためです。
ところが、肝心のルーシーおばさんはメガネと腕輪だけを残して行方不明。さらに、“失われた黄金郷エル・ドラド”の伝説にまつわる古い地図まで発見され、事態は思わぬ方向へ。
何があったのか確かめるため、パディントンたちは川船の船長ハンター・カボット(アントニオ・バンデラス)と娘ジーナの助けを借りながら、アマゾンのジャングル奥地へ。インカの遺跡に隠された秘密や、謎めいた伝説が彼らを待ち受けます。次々と襲いかかる危機を乗り越えるうちに、やがてルーシーおばさんに隠された真実と、パディントン自身のルーツに関わる重大な秘密が明らかになるのですが……。
作品の魅力
大自然と冒険が彩る“ペルー編”はシリーズの新境地
舞台をロンドンからパディントンの生まれ故郷・ペルーへ移したことで、映像やストーリーに大きな変化が生まれています。アンデス山脈やジャングル、滝や遺跡などの神秘的なロケーションが満載で、「ほのぼのホームコメディ+壮大な冒険譚」という新しいジャンル融合が楽しめるのがポイントです。
撮影監督エリック・ウィルソンは、ペルー独特のカラフルな風土や自然美を鮮やかに捉え、VFXチームとの連携でジャングル探検の臨場感を見事に演出。中盤のマチュピチュ近辺での追跡劇や、秘境の遺跡で繰り広げられるスリル満点のシーンは必見です。前2作から続くドールハウス風ショットなどの可愛らしい演出もところどころに挟まれ、“らしさ”を保ちつつスケールアップしているのが魅力と言えるでしょう。
“クマと家族の絆”から“ルーツとアイデンティティ”へ
前2作は「ロンドンにやってきたクマが、家族や周囲と打ち解ける過程」に焦点がありました。一方、3作目となる本作では、世界中から愛されるパディントンが故郷へ戻る物語です。そのぶん“異文化交流”の新鮮さはやや薄れ、代わりにパディントン自身のルーツや出生の秘密がクローズアップされます。
- ペルーの老クマホームにいるはずのルーシーおばさんが突然失踪
- おばさんを救うため、黄金伝説に絡む謎を解く
- 最終的にパディントンが“自分が何者なのか”を改めて知る
この流れは、まさに主人公が自分のアイデンティティを見つめ直す旅です。英国で暮らす“紳士的なクマ”としての自覚と、ペルーの血を引く“原点”の両方を受け入れたとき、パディントンは一回り大きく成長します。
観る側としては、パディントンがルーツに触れるシーンにグッと胸を打たれると同時に、「どちらの家族も大切に想うからこそ決断が難しい」という切なさも味わえます。終盤で描かれる大きな決断は、シリーズならではの家族愛を感じさせつつ、観客の涙を誘う見せ場と言えるでしょう。

アドベンチャー色が強まり、“番外編”的な印象も
本作の大きな特徴は、やはり「冒険の比重が増えた」こと。アギーレ/神の怒りなどの冒険映画の影響を公言している(過去記事参照)だけに、“黄金郷”を追い求める人々の狂気が描かれたり、ジャングルや古代遺跡が舞台になったりと、正統派な秘境探検モノの様相を帯びています。
前2作の「ロンドンが舞台のほのぼの+ドタバタコメディ」を好むファンからすると、少し予想外のテイストかもしれません。人によっては「これはもう番外編みたいだな」と感じることもあるでしょう。とはいえ、シリーズも3作目。新しいチャレンジで作品の幅を広げるのは自然な展開とも言えますし、「ペルーはパディントンの故郷」である以上、そのストーリー上の必然性はしっかり感じられます。
新キャラクターの魅力と、オールドキャラの活躍
- ハンター・カボット船長(アントニオ・バンデラス)
川船でパディントンたちを案内する陽気な船長。祖先が追い求めた黄金郷に取り憑かれており、コミカルかつ少し危うい野心を抱えています。亡き妻に先立たれ、娘ジーナを男手ひとつで育てているという背景を持ち、彼が見る“先祖の亡霊”をバンデラス自身が一人何役も演じ分けるシーンは抱腹絶倒。 - 修道院長(オリビア・コールマン)
ルーシーおばさんが暮らしていた老クマホームの院長。やや大袈裟な口調と歌が得意で、その裏にどんな秘密が…? コールマンのコミカル&シリアスを行き来する演技は見事で、本作の笑いとサスペンスを大いに盛り上げます。 - ブラウン一家
おなじみのヘンリー、メアリー、子どもたち、バードさんも登場。とはいえ、今回はペルーを舞台にした冒険が中心のため、ロンドンでの日常がたっぷり描かれていた前2作よりは“家族のほのぼのエピソード”が少なめ。その代わり、異国の地で一致団結してパディントンを支える一家の奮闘が微笑ましく、特にバードさんの飄々としたキャラクターは相変わらず魅力的です。 - エンドクレジット後のお楽しみ
とある懐かしい人物がカメオ出演します。劇場では最後まで席を立たずに待ってみてくださいね。
個人的な印象:前2作には及ばないが、それでも「観る価値あり」
ここからは私自身の正直な感想です。
評価は少し下がるが、総じて満足
- 前2作の“家族ドラマ+コメディ”要素が減り、冒険寄りの構成になった点は賛否ありそう。でも終盤はしっかり感動でき、鑑賞後には「やっぱり観てよかった」と思えました。
字幕版の少なさが残念
- 個人的にはベン・ウィショーの柔らかな声が作るパディントンの雰囲気が好きなので、字幕版派。にもかかわらず上映回数が非常に限られており、探し回るはめに…。可能ならぜひ字幕版もチェックしてほしいです。
“外伝”感覚がちょうど良い
- ロンドンを離れ、大冒険が展開されることで「別物」と感じる人もいそう。でもこれはこれで新鮮な一歩。むしろ「番外編」として割り切ると楽しめるはずです。
まとめ
シリーズ第3弾となる『パディントン 消えた黄金郷の秘密』は、冒険要素の強化によって“番外編”的な香りを漂わせながらも、パディントンの優しさやブラウン一家の絆といったシリーズの核はしっかり守り続けています。終盤には家族の愛情が胸を熱くする感動シーンが用意されているので、「今回は冒険モノか…」と身構えている人ほど意外に泣かされるかもしれません。
個人的には、前2作ほどの“ほのぼの感”は薄れたものの、やはり大画面&映画館の音響で観る価値は十分。特にベン・ウィショーの声が好きな方は、ぜひ字幕版を探してみてください。パディントンの礼儀正しさ、健気さにほろりとさせられ、改めて「彼が愛される理由」を実感できる作品です。
ぜひ劇場へ足を運び、クマの紳士と一緒にペルーの冒険を楽しんでみてはいかがでしょうか。終盤の展開を知った後には、前2作とのつながりやパディントンの成長がいっそう味わい深く感じられるはずです。
- IMDb『パディントン 消えた黄金郷の秘密』
キャストやスタッフの詳しい情報、ユーザーからの評価やレビューなどが充実しています。英語サイトですが、作品の撮影秘話やTrivia(トリビア)も多く、さらに深く知りたい方にはおすすめです。