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【ネタバレなし】映画『スーパーマン』(2025)感想レビュー。ジェームズ・ガンが描く「優しさ」と傷だらけのヒーロー像が最高!

映画『スーパーマン』基本データ

  • 原題: Superman
  • 監督: ジェームズ・ガン
  • 主要キャスト:
    • デヴィッド・コレンスウェット(クラーク・ケント/スーパーマン)
    • レイチェル・ブロズナハン(ロイス・レイン)
    • ニコラス・ホルト(レックス・ルーサー) ほか
  • 公開年: 2025年7月11日(日米同時公開)
  • 上映時間: 129分
  • 視聴方法(2025年7月現在):
    • 全国の劇場で公開中(個人的にはIMAXでの鑑賞を強くおすすめします!)

この記事でわかること

  • ジェームズ・ガン監督版『スーパーマン』が「ヒーロー映画の原点回帰」と評される理由
  • なぜ本作のスーパーマンは「完璧ではない」傷だらけのヒーローとして描かれたのか
  • 作品の核心的テーマである「優しさ」のラディカル(過激)な意味
  • DCユニバース初心者でも安心して楽しめる巧みな脚本構成
  • 観る者の心を癒やす、スーパー・ドッグ「クリプト」の魅力

はじめに

こんにちは。当ブログ『ねことシネマ』へようこそ!

ジェームズ・ガン監督が『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズをMCUで完結させ、今度はDCユニバース(DCU)を立て直す──。その記念すべき第一作目として『スーパーマン』を撮ると聞いた時、期待に胸を膨らませた映画ファンは少なくないはずです。

何を隠そう、私もその一人。予告編で映し出された、スーパーマンが傷だらけで墜落する衝撃的なシーンが脳裏に焼き付き、「これまでのスーパーマンとは違う、何か特別な物語が始まるに違いない」と、公開2日目に早速IMAXで鑑賞してきました。

結論から申し上げますと、最高に面白かったです! まさに「これぞヒーロー映画だ」と快哉を叫びたくなるような、ジェームズ・ガン監督らしい安定感と新しさに満ちた素晴らしい作品でした。

この記事では、大きなネタバレは避けつつ、本作がいかに素晴らしかったか、その魅力を掘り下げていきたいと思います。ただ、作品の核心的なテーマにも触れていきますので、予備知識なしで楽しみたい方はご注意くださいね。

(C) & TM DC (C) 2025 WBEI

あらすじ

普段は新聞記者クラーク・ケントとして正体を隠し、人々を守るヒーロー、スーパーマン。ピンチに颯爽と駆けつけ、超人的な力で人々を救うその姿は、誰もが憧れる存在だった。

しかし、時に国境を越えて行われる彼のヒーロー活動は、次第に国際社会で問題視されるようになる。恋人であり、彼の正体を知る唯一の人物でもある記者ロイス・レインからもその活動の是非を問われ、スーパーマンの心は揺らぎ始める。

一方、スーパーマンを人類の脅威とみなし、彼を社会から排除しようと目論む天才科学者レックス・ルーサーは、世界を巻き込む巨大な計画を秘密裏に進めていた。やがてルーサーの歪んだ野望が、スーパーマンの前に立ちはだかる。

世界中から非難を浴び、戦いの中で心身ともに深く傷つきながらも、スーパーマンはなぜ人々を守り続けるのか。彼は再び立ち上がることができるのか──。

作品の魅力

ここからは、私が本作を鑑賞して特に心を揺さぶられたポイントや、その背景にあるであろうテーマについて、少し深く掘り下げていきたいと思います。

観客を惹き込む「スピード感」と巧みな脚本

まず素晴らしいと感じたのが、映画の冒頭から観客を一気に引き込む、その圧倒的なスピード感と没入感です。

本作は、スーパーマンがすでにヒーローとして世に知られ、活躍している時点から物語が始まります。1978年のクリストファー・リーヴ版のように、故郷クリプトン星の崩壊から地球での成長までを時系列で描くのではなく、ヒーローになるまでのオリジン・ストーリーを大胆に省略しているのです。これは、トム・ホランドが演じたMCU版『スパイダーマン』の登場のさせ方にも似ていますね。

何度も映像化されてきた有名キャラクターだからこそできる、思い切った構成ですが、これが大成功しています。観客は「なぜ彼がスーパーマンになったのか」という説明を待つ必要がなく、始まった瞬間から「ヒーロー・スーパーマン」の物語に集中できます。

そして、この構成の本当に巧みな点は、単なるテンポアップだけに留まらないことです。本編で省略された「なぜ両親はスーパーマンを地球へ送ったのか」という過去の出来事が、後々、物語の展開を大きく左右する、非常に重要な要素として再登場します。

この「オリジンストーリーの省略」は、近年のヒーロー映画に食傷気味な「オリジン疲れ」への直接的な対抗策であり、観客の知性を信頼した作り手の意図が感じられる、という分析もあるようです。過去の出来事を物語を動かすための重要な装置として後から見せることで、映画全体のスピード感を維持しつつ、物語に深みを与える。この脚本の見事さには、ただただ唸らされました。

「完璧ではない」からこそ胸を打つ、人間味あふれるヒーロー像

予告編からも伝わってきた通り、本作のスーパーマンは「完璧超人」ではありません。彼は戦いに敗れ、傷つき、悩み、時に過ちを犯す、非常に人間味あふれるヒーローとして描かれています。

なぜ、あえて彼の「負け」や「弱さ」を描くのか。その答えは、クライマックスでヴィランのレックス・ルーサーに向けて語られる、あるスピーチの中にありました。

このスピーチで、スーパーマンは自身のヒーローとしての生き方、その哲学を語ります。そして、その言葉が、彼が過去に経験した失敗や敗北と結びつくことで、圧倒的な説得力を生むのです。傷だらけのスーパーマンを描くことの必然性を、私たち観客はここで完全に理解することになります。

本作について、ジェームズ・ガン監督自身がスーパーマンを「完璧ではありません。欠点もある」と語っています。作中でも、彼がネット上の偽情報や世論の批判に感情的に傷つく姿が描かれています。こうした「弱さ」こそが、本作の最もラディカルな挑戦なのかもしれません。

そして、このスピーチは私たち観客の胸にも深く響きます。超人的な力を持っていなくても、目の前のことに真摯に向き合い、最善を尽くすこと。その姿勢こそが尊いのだと。そんな熱く、そして優しいメッセージを受け取ることができるのです。

ザック・スナイダー版との対比で際立つ「優しさ」という名の力

この『スーパーマン』の感想を語る上で、どうしても比較したくなるのが、ザック・スナイダー監督版『マン・オブ・スティール』ですよね。重厚でダークなトーンが印象的だった前作に対し、ガン監督が出した「答え」とは…。

『マン・オブ・スティール』が、神のような力を持つ異星人の苦悩を、重厚でシリアスなトーンで描いたのに対し、本作はジェームズ・ガン監督らしいユーモアと心温まる人間ドラマ、そして何より「明るさ」に満ちています。

本作の核心的なテーマは、現代社会においては過激(ラディカル)ですらある「優しさ」という行為そのものです。怒り、偽情報、そして分断が渦巻く時代において、共感こそが究極のスーパーパワーである、と。本作は、まさにそのことを証明しようとしているようなのです。

スーパーマンを人類の脅威とみなし、SNSやフェイクニュースを巧みに使って世論を操作するレックス・ルーサーの姿は、現代社会の歪みを色濃く反映しています。そんな彼の冷笑的な策略に対し、スーパーマンは物理的な力だけでなく、揺るぎない「優しさ」と「誠実さ」で立ち向かいます。

この対比構造は、本作が単なるヒーロー映画ではなく、前作『マン・オブ・スティール』が提示したダークなヒーロー像に対する、ジェームズ・ガン監督からの哲学的な「回答」なのだ、という見方もできるかもしれません。どちらが良いという話ではなく、二つの異なるアプローチがあるからこそ、スーパーマンというキャラクターの奥深さがより際立つように感じました。

初心者にも優しい、新たなDCユニバースの幕開け

「アメコミ映画って、たくさん観てないと話が分からないんじゃ…?」
そう思っているあなた、安心してください! この『スーパーマン』は、過去作を一切観ていなくても120%楽しめます。むしろ、ここが入門として最高の作品なんです。

もちろん、原作ファンならニヤリとできる小ネタも満載のようですが、何よりも本作はこれから始まる新DCユニバースの第一作目。純粋に一本の傑作映画として、誰もが楽しめる間口の広さを持っています。

過去のスーパーマン作品を知らなくても全く問題ありません。むしろ、本作は「ヒーローとは何か」を現代に改めて問い直す作品なので、ここからスーパーマンの世界に入っていくのは、非常におすすめです。

まとめ

ジェームズ・ガン監督の『スーパーマン』は、ヒーロー映画の原点に立ち返りながらも、「なぜ今、ヒーローが必要なのか」という問いに対して、力強く、そしてこの上なく優しい答えを示してくれる傑作でした。

脚本、演出、キャラクター造形、そのすべてが素晴らしく、間違いなく2025年を代表する一本になるでしょう。傷つき、悩みながらも、決して希望を捨てない。そんな彼の姿は、きっと私たちの心に光を灯してくれるはずです。

個人的には、音響や映像の迫力を最大限に楽しめるIMAXでの鑑賞を強く、強くおすすめします!

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。 あなたはこの映画のどんなところに魅力を感じましたか?もしよろしければ、ぜひコメントで教えてください!

当ブログ的“猫視点”のひと言

(C) & TM DC (C) 2025 WBEI

この映画を観たら、どうしても触れずにはいられません!スーパーマンの相棒として登場するスーパー・ドッグの「クリプト」が、本当にかわいいんです。

ジェームズ・ガン監督の実際の愛犬がモデルになっているそうで、そのスクリーンでの愛らしい活躍には、生粋の猫派である私も思わず頬が緩んでしまいました。ですが、クリプトはただ可愛いだけの存在ではありません。スーパーマンと共に敵陣に飛び込み、勇敢に戦う姿は、まさに頼もしき相棒そのもの!

うちの猫も、マントをつけたらあんな風に空を飛んでくれるかしら…なんて、つい想像してしまいますね。クリプトの健気な姿も、ぜひ劇場の大きなスクリーンでご覧ください。

  • IMDb『スーパーマン』
    キャストやスタッフの詳しい情報、ユーザーからの評価やレビューなどが充実しています。英語サイトですが、作品の撮影秘話やTrivia(トリビア)も多く、さらに深く知りたい方にはおすすめです。
  • この記事を書いた人

HAL8000

映画と猫をこよなく愛するブロガー。 多いときは年間300本以上の映画を観ていて、ジャンル問わず洋画・邦画・アニメ・ドキュメンタリーまで幅広く楽しんでいます。

専門的な批評はできませんが、ゆるっとした感想を気ままに書くスタンス。 ブリティッシュショートヘア×ミヌエットの愛猫ハルも自慢したいポイントで、レビューの合間に猫写真や日常もたまに紹介しています。

当ブログ「ねことシネマ」で、映画好き&猫好きの皆さんに楽しんでいただけると嬉しいです。
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