映画『サンダーボルツ*』基本データ
- タイトル:『サンダーボルツ*』
- 公開年:2025年5月2日(日米同時公開)
- 監督:ジェイク・シュライアー
- 出演:
- フローレンス・ピュー(エレーナ・ベロワ)
- セバスチャン・スタン(バッキー・バーンズ)
- ワイアット・ラッセル(ジョン・ウォーカー/U.S.エージェント)
- デヴィッド・ハーバー(レッド・ガーディアン)
- ハナ・ジョン=カーメン(ゴースト)
- オルガ・キュリレンコ(タスクマスター)
- ルイス・プルマン(ボブ/セントリー)
- 上映時間:127分
- 視聴方法:全国劇場公開中
- 受賞・評価:公開初週の批評家スコアで高評価(Rotten Tomatoes 90%前後)
この記事でわかること
- アンチヒーローチーム映画『サンダーボルツ*』のあらすじと基本情報
- 作品が描く「トラウマ」「贖罪」「連帯」のテーマ
- 見どころとなるキャラクター同士のドラマと迫力あるアクション
- 従来のMCUとは違うダーク&ヒューマンドラマ的要素
- 今後のMCUを追うか迷っている方へのメッセージ
はじめに
こんにちは。当ブログ『ねことシネマ』へようこそ。ゴールデンウィーク真っ只中ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
わたしはというと、本日公開されたばかりのマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の最新作『サンダーボルツ*』を早速IMAXで観てきました。
実はMCU作品は映画・ドラマ含めてほぼすべて追いかけているのですが、エンドゲーム後は新作が一気に増え、伏線が回収しきれなかったり作品ごとのクオリティに差が出たりと、「ちょっと追いかけるのがしんどいな…」と思うことがありました。周囲でも「そろそろマーベル離れしようかな」なんて声が聞こえるほどです。
とはいえ、たまには『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:Vol.3』のような傑作も登場していて、結局「離れられない」のがMCUファンの性(さが)でしょうか。私も『デアデビル:ボーン・アゲイン』までしっかりチェック済みで、次に控える『アイアンハート』にもちゃっかり期待しています。結局、なんだかんだ言いながらも全部観てしまう――“期待半分・義務感半分”な状態が続いているんですよね(笑)。
そんな中、『サンダーボルツ*』は試写会の段階から「ものすごく良い」という評判を聞いて、ロッテン・トマトの批評家スコアも約90%と高評価。にわかには信じられませんでしたが(笑)、結論として観終わったあとの感想は「すごく良かった!」の一言に尽きます。
犯罪歴のあるキャラクターたちを前面に押し出し、メンタルヘルスや贖罪をガッツリ描いたのは、これまでのMCUとはひと味違う大胆なアプローチです。特にエンドクレジットシーンのワクワク感なんて、“あの頃のMCU”を思い出して思わずニヤリとしてしまいました。
長らく低空飛行気味といわれていたMCUを「もう一度盛り上げよう!」という制作者の本気を感じさせる1本だと思います。
ここからは、私が実際に観て「ここが最高だった!」と思うポイントを、ちょっと深掘りしてみたいと思います。ネタバレは避けつつもストーリーに軽く触れるので、気になる方はご注意を!
あらすじ
アベンジャーズ不在の世界で、突然ニューヨークの街を“黒い影”が覆いはじめ、住民が次々と姿を消すという事件が起こります。いったい誰が地球を守ってくれるのか――? そこで裏から動き出すのが、CIA長官バレンティーナ(通称ヴァル)。彼女はなんと、元暗殺者や元洗脳兵士など“はみ出し者”たちを集めて新たなチームを結成しようと画策します。
招集されたのは、エレーナ・ベロワ(フローレンス・ピュー)、バッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)、ジョン・ウォーカー(ワイアット・ラッセル)、レッド・ガーディアン(デヴィッド・ハーバー)、ゴースト(ハナ・ジョン=カーメン)、そしてタスクマスター(オルガ・キュリレンコ)といった面々。いずれも過去に重大な罪や失敗を背負った、いわば「アンチヒーロー」です。かれらは渋々(あるいは騙されて)協力関係を結び、世界を救うために“サンダーボルツ”の名のもとに出動することになります。
しかし物語が進むにつれて、正体不明の脅威は単なる外敵ではなく、メンバー自身の“心の闇”をも映し出す存在であることが判明。最強の新ヒーロー候補として登場したセントリー(ルイス・プルマン)さえ、その内面に潜む“ヴォイド”という闇に飲み込まれ、圧倒的な力で世界を崩壊へと追い詰めていきます。果たして、この寄せ集めのチームは、外的な危機と内なるトラウマを乗り越えることができるのでしょうか――?

作品の魅力
アンチヒーローの内面に迫る群像劇
これまでもMCUには悩みや傷を抱えるヒーローが登場してきましたが、『サンダーボルツ*』では「犯罪歴のある」「国家に利用されてきた」アウトサイダーたちが中心。いわゆる“正義の味方”とは遠い立ち位置だからこそ、彼らのトラウマや贖罪のドラマが作品を大きく牽引します。
- エレーナ(フローレンス・ピュー)
姉の死(ナターシャ)による喪失感から抜け出せず、自分の存在意義を見いだせない。ピューの演技は細かな表情や声色が秀逸で、観る者の心を揺さぶります。 - バッキー(セバスチャン・スタン)
「ウィンター・ソルジャー時代の洗脳」という深い罪を抱えたまま、“人を助ける”行動に再び身を投じる。静かながらも積み重なった苦悩が伝わる演技で、チームをまとめる柱として機能しています。 - ジョン・ウォーカー(ワイアット・ラッセル)
かつてキャプテン・アメリカの名を汚してしまった男。傲慢さや劣等感が同居する複雑な役どころですが、本作では意外にもチームのバランスを取るポジションに。そこにラッセルの人間臭い演技が加わり、嫌われキャラだったジョンへの印象が変わるかもしれません。 - レッド・ガーディアン(デヴィッド・ハーバー)
ユーモア担当の“おじさんヒーロー”として、チーム内の空気を明るくする存在。でも娘のように想うエレーナに対して、不器用な優しさを見せる場面がとても印象的です。 - ゴースト(ハナ・ジョン=カーメン)&タスクマスター(オルガ・キュリレンコ)
この2人はやや描写が少なめという声もありますが、アクションはかなり魅力的。(個人的にゴーストの衣装はかなり好きでした…!)
こうしたキャラ同士の“すれ違い”から生まれる衝突、そして少しずつ育まれていく信頼関係が本作の一番の見どころ。彼らはヒーローとして立派に戦う前に、まず自分の過去と向き合わなくてはならないのです。
トラウマとメンタルヘルスへの真正面からのアプローチ
本作では、仲間同士のぶつかり合いや政府の陰謀だけでなく、“自分自身をどう救うか”という内面のテーマが重視されます。セントリーが心の闇から“ヴォイド”という怪物的存在を生み出す流れは、外的脅威=内的トラウマのメタファーとして非常に象徴的。まるで「あなたは自分の傷と向き合わずに、それでも他人を救おうとしているのか?」と問いかけられるようです。
MCU作品でこれほどまでに「メンタルヘルス」や「PTSD」「贖罪」の要素を前面に押し出すのは珍しいですよね。ド派手なアクションをメインとする従来のヒーロー映画とは、一味違う作風になっています。暗めのトーンではありますが、同時にキャラ同士が心を開き合い“支え合う”ことで、生き延びる力を発揮するという希望のメッセージが込められています。
しかも今回のチームは、いわゆる勧善懲悪のヒーローではなく、犯罪歴があったり国家に利用されたりと、DCの『スーサイド・スクワッド』を彷彿とさせる部分も。しかしあちらがブラックコメディやバイオレンスに振り切っているのに対し、本作は「過去の罪とどう向き合うか」「心に巣食うトラウマをどう克服するか」を丁寧に描く人間ドラマ寄りの仕上がりです。
すでにDisney+ドラマなどでキャラクターの背景が描かれているため、映画単体では深入りした説明こそ少なめですが、その分テンポよくストーリーが動き出し、各自の抱える問題もスムーズに浮かび上がってきます。

ダーク&コミカルを両立させる演出
本作を手がけるジェイク・シュライアー監督は、インディ映画出身の経歴を持ち、ブラックユーモアや詩的な映像表現を得意とするそうです。実際の撮影も実物のセットやスタントを重視し、高層ビルからのダイブをフローレンス・ピュー自身が行うなどリアルな迫力が際立ちます。
- 映像のトーン
青みがかったダークな色彩設計がベース。映画冒頭のエレーナのシーンからして“影”を意識させる撮り方が多く、今回の物語のキーが“心の闇”や“影”であると示唆されます。 - アクション
CGだけに頼らない肉弾戦や、キャストの身体を張ったスタントが見どころ。痛みや重みがリアルで、観客も自分が殴られたような緊張感を覚えます。 - ユーモア
沈んだ空気が続きそうなところで、不意に入るブラックコメディ的なやりとりが◎。レッド・ガーディアンやジョン・ウォーカーを中心に、仲間内の軽妙な掛け合いが随所に挟まれ、笑いつつもチクッと心を刺されるようなバランスを保っています。
エンドクレジットシーンのワクワク感
本作のクライマックス後、2つのエンドクレジットシーンが用意されています。
- 1つはコメディ要素の強い小ネタですが、もう1つは次期フェーズやアベンジャーズ関連に繋がる「大きな布石」。
最近のMCUはややマンネリ気味だと言われていましたが、「あの頃の興奮」を取り戻すような仕掛けになっており、ファンなら思わずニヤリとしてしまうでしょう。筆者自身、観終わったあと「これはもう一度観たい!」と感じました。トータルで2時間超えの作品ながら、ドラマ面とアクション面のバランスが良く、飽きさせません。IMAXでの迫力も抜群なので、できるだけ大きなスクリーンでの鑑賞をおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は“正統派ヒーロー不在”の世界で、アウトサイダーたちが再起をかけて結集する『サンダーボルツ*』をご紹介しました。見どころをざっくり挙げると――
- 個々のキャラが抱える罪やトラウマをしっかり掘り下げ
- 外的脅威だけでなく“心の闇”との闘いを重視
- ダークなテーマを描きながら、ブラックコメディの緩急で楽しく見せる
- エンドクレジットシーンで次への期待感を取り戻せる
こんな作品に仕上がっています。もちろん、これまでのMCU知識があるほど楽しめるのは事実ですが、「過去作すべてを完璧に観ていなくても、心のドラマやアクションの迫力は十分堪能できる」と感じました。むしろ最近のMCUにちょっと疲れていた方こそ、本作で新鮮な驚きを味わってもらえるのではないでしょうか。
特に、エンドゲームでいったん“見たいものは全部見た”感があった方にもおすすめです。『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』や『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:Vol.3』のような傑作が時々出るからこそ離れられない――そんな方が再びMCUにハマるきっかけになるかもしれません。筆者自身も、ドラマが多いなかでもなんだかんだ追ってしまう性分ですので(笑)、これから先の作品も楽しみになりました。
当ブログ『ねことシネマ』としては、「みなさんはどう思うか、ぜひ感想を語ってほしい!」これがいちばん伝えたいことなんですよね。推しキャラの贖罪シーンに胸を打たれたり、仲間との“疑似家族”っぽい雰囲気に癒やされたり――人それぞれだと思います。ぜひコメントやSNSで、あなたの感想を教えてください!
休日のひととき、大迫力のIMAXシアターでアウトサイダーたちの葛藤と熱いアクションを楽しんでみてはいかがでしょう。
- IMDb『サンダーボルツ*』
キャストやスタッフの詳しい情報、ユーザーからの評価やレビューなどが充実しています。英語サイトですが、作品の撮影秘話やTrivia(トリビア)も多く、さらに深く知りたい方にはおすすめです。 - 【ネタバレあり】インクレディブル・ハルク必須?新キャプテンが躍動する『ブレイブ・ニュー・ワールド』徹底レビュー
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セバスチャン・スタンがバッキーを演じるにあたって影響を受けている作品です。