この記事でわかること
- 筆者が2025年上半期に映画館で鑑賞した全53作品のリストと一言感想
- 『ウィキッド』『Flow』『ガール・ウィズ・ザ・ニードル』など話題作の個人的な評価
- 数ある傑作の中から選ばれた、筆者の個人的上半期ベスト映画TOP3
- 今後の映画鑑賞への期待と、下半期の注目作への展望
はじめに
こんにちは!当ブログ『ねことシネマ』へようこそ。 いつもは鑑賞した映画について1本ずつじっくり語っていますが、今回は少し趣向を変えた特別企画をお届けします。題して、「2025年上半期・個人的ベスト3映画ランキング!」です。
今年も早いもので7月に入り、1年の折り返し地点を迎えました。そこで、今年上半期に映画館で鑑賞した作品を一度すべて整理し、その中でも特に私の心に深く刻まれた作品たちを、皆さんと一緒に振り返ってみたいと思います。
今年、私が映画館で鑑賞した作品は53本、鑑賞回数でいうと54回(『ウィキッド ふたりの魔女』を2回鑑賞)でした。記録が漏れていなければ、おそらくこの本数で合っているはずです。
今回はかなりの長丁場になりますが、鑑賞した全作品について一言二言ずつ感想を述べさせていただき、最後にベスト3を発表します。もし気になる作品があれば、ぜひあなたの映画選びの参考にしていただけると嬉しいです。
それでは早速、鑑賞した順に振り返っていきましょう!
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気になる映画を見つけたら、ぜひ見出しをクリック(タップ)してみてくださいね!
2025年上半期 劇場鑑賞作品 全53本一言レビュー
『ロボット・ドリームズ』 (Robot Dreams)
2025年の映画初めとなった作品です。群馬県での公開が1月3日で、公開日に劇場へ足を運びました。満席だったのを今でも覚えています。このブログを始める前だったので、まだちゃんとした記事を書けていませんが、セリフがないのに心に深く響く、本当に素晴らしい映画でした。1年の始まりにふさわしい一本です。
『妖星ゴラス』
1962年公開の特撮作品を「午前十時の映画祭」で鑑賞しました。地球に迫る妖星を避けるため、地球自体にエンジンを付けて動かすという、その奇想天外な発想に驚かされました。特撮ならではの工夫と味わいを再確認できた作品です。
『ビーキーパー』 (The Beekeeper)
ジェイソン・ステイサム主演のアクション映画。続編の製作も決定しているようですね。良くも悪くも「いつものステイサム映画」で、ファンが期待するものをきっちり見せてくれる、安定感のある一本でした。
『どうすればよかったか?』
統合失調症の女性を抱える家族を追った日本のドキュメンタリー映画。非常に強烈で、鑑賞後もずっと考えさせられています。これがドキュメンタリーであり、現実だという事実に打ちのめされました。テレビでは放送できないほど踏み込んだ内容で、見る価値のある作品です。
『I LIKE MOVIES アイ・ライク・ムービーズ』 (I Like Movies)
映画オタクの少年がレンタルビデオ店で働きながら成長していく物語。映画好きなら誰もが主人公に自分を重ね、自身の“黒歴史”を思い出すような感覚になるのではないでしょうか。ティーンエイジものとしても非常に秀逸で、大好きな作品です。
『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』 (九龍城寨之圍城)
口コミでヒットした香港映画。アクションの質も高く、日本の漫画のような面白さがありました。それだけでなく、かつて九龍城砦で生きた人々への追憶のような、ノスタルジックな側面も感じられる作品でした。
『E.T.』 (E.T. the Extra-Terrestrial)
スティーヴン・スピルバーグ監督の名作をIMAXで再鑑賞。何度も見ているはずなのに、IMAXのスクリーンで見たことで、これまで気づけなかった監督の演出の巧みさなどに改めて気づかされ、人生のベスト5に入るかもしれないほどの衝撃を受けました。映画は見るタイミングや経験値によって受け止め方が変わることを痛感した体験でした。
『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』
私自身はガンダムシリーズに詳しくないのですが、大きな話題になっていたこと、そしてスタジオカラーや庵野秀明監督が関わっているということで鑑賞しました。ファンにとってはたまらない「同人誌のような映画」だと感じましたが、これを機にガンダムシリーズを改めて見てみたくなりました。
『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』 (The Room Next Door)
心を大きく揺さぶるタイプではありませんが、静かに観客の心に残り続けるタイプの作品。こういう映画が好きなんだなと、つくづく感じさせてくれました。
『セブン』 (Se7en)
デヴィッド・フィンチャー監督の傑作をIMAXで。初見時のような驚きはありませんでしたが、安定した面白さは健在。IMAXならではのディテールやコントラストの表現も素晴らしく、改めて映画館で見られてよかったです。
『ファーストキス 1ST KISS』
脚本が坂元裕二さんということで鑑賞。松村北斗さんと松たか子さんの演技が素晴らしく、誰もが良い映画だと感じるであろう作品でした。特に、前半で何気なく登場したギョーザが、ラストで非常にうまく使われている脚本の巧みさには唸りました。
『野生の島のロズ』 (The Wild Robot)
今年のアカデミー賞長編アニメーション部門の最有力候補と言われていた作品。映像も美しく、物語も深く、大人が見ても感動できるシーンが満載でした。これが賞を獲らなかったら何が獲るんだ、と思わせるクオリティでした。
『アプレンティス ドナルド・トランプの創り方』 (The Apprentice)
セバスチャン・スタンがドナルド・トランプを演じた伝記映画。彼の演技もさることながら、大統領選の時期にこれほど攻めた映画が公開されたという事実に驚きました。トランプという人物の凄みを改めて感じさせられる作品です。
『おんどりの鳴く前に』 (Oameni de treabă)
批評家からの評判が良く鑑賞したルーマニア映画。タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』を彷彿とさせるようなラストシーンが印象に残っています。
『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』 (Captain America: Brave New World)
サム・ウィルソンがキャプテン・アメリカになってからの初の単独映画。個人的には、脚本もアクションも期待していたものとは少し違い、残念ながら少しがっかりした作品でした。
『愛を耕すひと』 (Bastarden)
マッツ・ミケルセン主演のデンマーク映画。静かながらも力強い、本当に素晴らしい作品でした。ただ、上映中にビニール袋をガサガサさせる観客がいたことが残念でならず、静かな映画だからこそマナーは守ってほしいと切に願います。
『あの歌を憶えている』 (Memory)
ミシェル・フランコ監督の新作。救いがあるようで、よく考えるとそうでもない。鑑賞後に完全には浄化されない、もやもやとした感覚が残るのが、いかにも彼らしい作品でした。
『ブルータリスト』 (The Brutalist)
4時間という長尺、途中休憩(インターミッション)あり、序曲から始まる構成など、往年のクラシックな大作を思わせる作品。その上映時間を感じさせない面白さで、鑑賞後は一本の対策を見終えた満足感に浸れました。この映画を映画館で体験できたこと自体が、良い思い出です。
『ANORA アノーラ』 (Anora)
アカデミー賞作品賞を受賞した、ショーン・ベイカー監督の作品。コメディタッチでテンポも良いですが、ラストシーンの余韻の残し方は見事の一言。作品賞受賞も納得のクオリティでした。
『名もなき者 / A Complete Unknown』 (A Complete Unknown)
ティモシー・シャラメがボブ・ディランを演じた伝記映画。ボブ・ディランを全く知らなかった私でも、鑑賞後には彼について調べたくなるほど、一人の人間を深く掘り下げた映画として非常に完成度が高い作品でした。
『聖なるイチジクの種』 (The Seed of the Sacred Fig)
イランの社会問題を背景にしながら、物語の軸は「狂った父親に家族が立ち向かう」というスリラー仕立て。エンタメとして見やすい一方で、その構図がイラン社会の縮図であることに気づかされる、本当にしてやられた一本です。ラストの象徴的なカットは映画好きなら誰もが唸るはず。
『ウィキッド ふたりの魔女』 (Wicked)
今年唯一、2回劇場で鑑賞した作品。エンターテインメントとしてこれ以上のものはないのではないか、と思うほどの完成度でした。最高の盛り上がりで「To be continued」と締めくくる演出には、スタンディングオベーションものの興奮を覚えました。続編への期待と、これを超えるのかという不安が入り混じっています。
『Flow』
セリフのない、猫が主人公のアニメーション映画。鑑賞後にこれほど自分の考えを発信したくなった作品はありません。答えがないからこそ、人の解釈を聞きたくなるし、自分の考えを話したくなる。映像だけで物語る「映画」の素晴らしさを改めて感じました。
『教皇選挙』 (Conclave)
公開後、実際にローマ教皇が逝去され、コンクラーベ(教皇選挙)が行われたことで二度話題になった作品。現代のカトリックが抱える問題を扱いながら、見事な密室ミステリーとして完成させています。
『ネムルバカ』
『ベイビーわるきゅーレ』の阪元裕吾監督作品。独特の脱力感を保ちつつ、やる時はやる女子たちのギャップを描くのが本当に上手いなと感心させられました。
『白雪姫』 (Snow White)
マーク・ウェブ監督による実写版。公開前から様々な意見が飛び交っていましたが、劇場で見た際は「言われているほど悪くないのでは?」と感じました。ただ、後から冷静に考えると、自分の中でも腑に落ちない点があったのかもしれません。
『雨に唄えば』 (Singin' in the Rain)
1952年のミュージカル映画の金字塔。もはや語るまでもない、ただただ素晴らしい名作です。
『エミリア・ペレス』 (Emilia Pérez)
あらすじの時点で面白いことが確定しているミュージカル映画。現実と幻覚の境界が曖昧になるようなミュージカルシーンの表現が斬新で、内容も考えさせられる、非常に面白い作品でした。
『BETTER MAN ベター・マン』 (Better Man)
ロビー・ウィリアムズの伝記映画でありながら、彼をCGの猿として描くというアプローチが斬新。『グレイテスト・ショーマン』のような華やかなミュージカルを期待すると肩透かしを食らうかもしれませんが、ユニークな作品です。
『ミッキー17』 (Mickey 17)
『パラサイト 半地下の家族』のポン・ジュノ監督最新作。彼特有のブラックコメディや社会風刺も健在で、SFというジャンルでもその手腕を発揮していることに驚きました。この監督は何でも撮れるのだなと改めて実感しました。
『終わりの鳥』
予告編を見て気になり鑑賞しましたが、予想外に素晴らしい作品に出会えました。詳しくは過去の記事で触れていますので、ぜひ読んでみてください。
『Love Letter』
岩井俊二監督の長編デビュー作を4Kリマスター版で。冒頭の雪原のシーンから、シネスコサイズを活かした絵作りに心を奪われました。これぞ映画、と思わせる、日本映画史に残る傑作です。
『片思い世界』
なぜもっとヒットしなかったのか不思議でならない作品。『花束みたいな恋をした』のタッグ(土井裕泰監督×坂元裕二脚本)なので、恋愛映画かと思いきや、全く違うジャンルの映画が始まります。未見の方はぜひ、ネタバレなしで見てほしいです。
『アマチュア』 (The Amateur)
しつこいほど劇場で予告編を見ていたので鑑賞しましたが、残念ながら予告編の内容をそのままなぞっただけ、という印象で、個人的にはあまり記憶に残っていません。
『劇場版名探偵コナン 隻眼の残像』
毎年恒例、春の風物詩。オープニングの「俺は高校生探偵、工藤新一…」を聞くと、「今年も春が来たな」と感じます。今年のコナンは、ここ数年の中では一番好きな作品でした。
『異端者の家』 (Heretic)
ヒュー・グラントが、モルモン教徒の少女たちに自らの持論を延々と語りかけるという異色のホラー映画。ただ話しているだけなのに、めちゃくちゃ怖い。それでいて、彼のセリフに時折納得させられてしまう部分もあり、そこがまた面白い作品です。
『JOIKA 美と狂気のバレリーナ』 (Joika)
実話をもとにしたバレリーナの映画。『ブラック・スワン』を彷彿とさせますが、これが実話だというのだから恐ろしい。夢と狂気は紙一重なのだと、改めて思わされました。
『サンダーボルツ*』 (Thunderbolts*)
マンネリ化しつつあったMCUに新たな風を吹き込んだ快作。一番面白かった頃のマーベルが帰ってきたような感覚で、今後の展開に期待が持てる作品でした。
『シンシン SING SING』 (Sing Sing)
刑務所の更生プログラムでミュージカルに挑む男性たちを描いた実話ベースの映画。キャストの多くを本人たちが演じており、これ以上ないリアリティがそこにありました。鑑賞後は明るい気持ちになれる、見てよかったと思える一本です。
『ターミネーター2』 (Terminator 2: Judgment Day)
言わずと知れた名作を劇場で再鑑賞。1作目で敵だったシュワちゃんが味方になるという脚本の妙は、今見ても色褪せません。T-800は本当に魅力的なキャラクターだと再認識しました。
『パディントン 消えた黄金郷の秘密』 (Paddington in Peru)
大好きなシリーズの3作目。決してダメなわけではありませんが、個人的には前2作ほどの熱狂は感じられませんでした。とはいえ、シリーズにとって必要な、良い映画であることは間違いありません。
『リー・ミラー 彼女の瞳が映す世界』 (Lee)
実在した女性戦場カメラマン、リー・ミラーを描いた作品。報道のあり方などを女性の視点からリアルに描き、鑑賞後に色々と考えさせられる映画でした。
『ガール・ウィズ・ニードル』 (The Girl with the Needle)
予告編でのビジュアルと音響に惹かれて鑑賞。見終わった後、「私はこういう映画が好きなのかもしれない」と改めて思いました。詳しくは過去記事で語っています。
『サブスタンス』 (The Substance)
R18指定も納得のかなり過激な描写があり、人を選ぶ作品だと思います。しかし、個人的にはここまで振り切ってくれると見事、と感じるほどの素晴らしい映画でした。
『サスカッチ・サンセット』 (Sasquatch Sunset)
こちらも賛否が分かれそうな作品。セリフがないからこそ感じ取れることがたくさんあり、しかしそれを言語化するのが非常に難しい。不思議な魅力を持った映画です。
『ノスフェラトゥ』 (Nosferatu)
古典的名作のリメイク。ビジュアルは素晴らしいものの、オリジナル版が持つサイレント映画ならではの削ぎ落された美学もまた魅力的だと感じ、一概に手放しで褒められるリメイクとは言えない部分もありました。
『リロ&スティッチ』 (Lilo & Stitch)
実写版。残念ながら、私が見た回の鑑賞マナーが非常に悪く、作品内容とは違う意味で印象に残ってしまいました。
『国宝』
歌舞伎をテーマにした3時間近い大作ですが、知識がなくても十分に楽しめます。口コミでヒットしているのも納得で、これを機に歌舞伎に興味を持つ人も多いのではないでしょうか。劇場で見る価値のある作品です。
『We Live in Time この時を生きて』 (We Live in Time)
アンドリュー・ガーフィールドとフローレンス・ピュー主演。余命宣告された恋人との日々を時系列をシャッフルして描く構成が秀逸で、海外で鑑賞後の泣き顔をSNSにアップするのが流行ったというのも頷けます。私も泣きました。
『28年後...』 (28 Years Later)
人気シリーズの続編。前作の内容をほとんど覚えていなくても、単体で十分に楽しめる、骨太な作品でした。
『メガロポリス』 (Megalopolis: A Fable)
巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督の新作。正直、語るのが非常に難しい、良くも悪くも「わからない」映画でした。ぜひご自身の目で確かめてみてください。
『F1』
王道のサクセスストーリーで、誰でも楽しめるエンタメ作品。カーレースの迫力は、ぜひIMAXスクリーンで体感してほしいです。
『フォーチュンクッキー』 (Fremont)
静かに胸に残る作品。最近記事を公開したばかりですので、詳しくはそちらをご覧ください。
2025年上半期 個人的ベスト3発表!
さて、大変お待たせいたしました。53作品の中から選んだ、個人的ベスト3を発表します!
第3位:『ガール・ウィズ・ニードル』
選出理由:あの"音"と映像美。鑑賞後、「私はこういう映画に心を奪われるんだ」と自分の核を再認識させられました。
第2位:『flow』
選出理由:セリフがないからこそ、考えながら観てしまう。映画の持つ「語る力」を信じさせてくれる、奇跡のような90分。
そして、栄えある第1位は…
第1位:『ウィキッド ふたりの魔女』
選出理由:文句なしの最高傑作。エンターテインメントが到達できる、1つの極点を目撃しました。2回観ても鳥肌が止まらなかったです。
ベスト3に選んだ作品については、それぞれ過去の記事で詳しく語っていますので、ここでは選出の発表に留めたいと思います。もしご興味があれば、ぜひそちらの記事もご覧いただけると嬉しいです。
まとめ
ということで、2025年上半期に映画館で鑑賞した作品の総まとめでした。 あなたの心に残った上半期ベスト映画は何でしたか?もしよろしければ、ぜひコメントで教えてください!
ちなみに、配信などで自宅鑑賞したものを含めると、上半期の総鑑賞本数は約130本でした。ただ、この数字は例年より少し少なめです。ブログでのアウトプットに時間を割くようになったことに加え、仕事の疲れもあり、映画を見るペースが少し落ちています。
とはいえ、映画館に足を運んだ回数は例年よりも多く、特にアカデミー賞関連作が公開される2月~3月は、見たい作品が目白押しで本当に楽しかったです。
下半期も素晴らしい映画にたくさん出会えることを楽しみにしつつ、年間で100回は映画館に行きたいなと思っています。年末には、下半期のランキングや、年間のベスト10なども発表できればと考えていますので、どうぞご期待ください!
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。また次回の『ねことシネマ』でお会いしましょう。