映画『プレデター バッドランド』基本データ
- 原題: Predator: Badlands
- 監督: ダン・トラクテンバーグ
- 主要キャスト:
- ディミトリアス・シュスター=コローマタンギ(デク)
- エル・ファニング(ティア) ほか
- 公開年: 2025年(日本公開 2025年11月7日)
- 上映時間: 107分
- 視聴方法(2025年11月現在):
- 全国の劇場でIMAXほかにて公開中
この記事でわかること
- 『プレデター』1作目しか見ていないライト層が本作をどう感じたか(ネタバレなし)
- なぜ「狩られる側」のプレデターが主人公として魅力的なのか
- 未知の惑星「バッドランド」の生態系が持つワクワク感
- 言葉を話さないプレデターの「成長」を、どう自然に描いているか
- プレデターとアンドロイドという「ありえない絆」が感動的な理由
- 批評家からも高い評価(Rotten Tomatoes 80%台)を得ている本作の面白さの核心
はじめに
こんにちは。当ブログ『ねことシネマ』へようこそ! 数ある映画ブログの中から、この記事を見つけてくださりありがとうございます。
最近はすっかり肌寒くなりましたね。我が家の猫も、日中はポカポカの日向を見つけては、気持ちよさそうにお昼寝しています。

さて、今回ご紹介するのは、そんな「ハンター」の代名詞とも言える、あの『プレデター』シリーズの最新作。
2025年11月7日に公開されたダン・トラクテンバーグ監督作品『プレデター バッドランド』です。
実を言うと、私が今回この映画を観に行ったきっかけは、かなり「消極的」なものでした。
『プレデター』シリーズといえば、1987年にアーノルド・シュワルツェネッガーさんが主演した1作目があまりにも有名ですよね。私も大学生の頃に1作目を観て、「頭を空っぽにして楽しめる、よくできたポップコーンムービーだな」と感じたきりでした。
私は、続編がたくさん作られている作品は、よほど気に入らない限り1作目だけで満足してしまうタイプでして…。正直、『プレデター』が全何作あって、物語がどう繋がっているのかも全く知らない状態でした。
今回も当初は観る予定はなかったのですが、他にピンとくる作品もなく、土曜の午前中の空いた時間に「せっかくなら何か観たいな」と。そこで、予告編で気になっていた本作が選択肢に挙がったのです。
観る前にあらすじを読んでみると、今回は「プレデター自身が主人公」で、しかも最強の「狩る側」ではなく、「狩られる側」として描かれていると知り、興味が湧きました。
「言葉も話さないプレデターを主人公にして、107分という映画が本当に持つのだろうか?」 「単なるドンパチで終わってしまうのか、それとも主人公として描くだけの脚本の力があるのか?」
そんな疑問を確かめるべく、IMAXシアターへ足を運んだのです。

先に結論から申しますと……本当に面白かったです。 正直、期待値はかなり低かったのですが、鑑賞後は「今週これを観て大正解だった!」と興奮している自分がいました。個人的には、1作目よりも全然面白かったと感じています。
今回は、私のようにシリーズをほとんど知らないライトな視点から、本作がいかに素晴らしかったか、その魅力を【ネタバレなし】で語っていきたいと思います。
あらすじ
掟を破ったことで一族から「はみ出し者」と見なされた若きプレデター、デク。彼は、生存不可能とされる最悪の地、惑星ジェナ、通称“バッドランド”へと追放されてしまいます。
そこは、想像を絶する恐ろしい生物たちが支配する、まさに「死の惑星」。 絶対的な強さを持つはずのプレデターでさえ、ここでは「狩られる側」に過ぎませんでした。
絶望的なサバイバルを続けるデクは、その旅の途中で、下半身を失った謎のアンドロイドの少女、ティアと出会います。 自分たち以外はすべてが敵、という過酷な世界で、本来なら相容れないはずの二人(?)は、生き残るために「ありえない協力関係」を結ぶことになるのですが……。
作品の魅力
鑑賞前は「どうせポップコーンムービーだろう」と高を括っていた部分がありました。もちろん、映画に芸術性や脚本のひねりを求めたくなることもあります。
ですが本作は、『プレデター』が持つ「ポップコーンムービー」としてのアクションやエンタメ性の軸は一切ブラさず、それでいて、このシリーズに全く新しい風を吹き込み、その世界観を何倍にも広げることに成功した、見事な傑作だと感じました。
魅力1:“バッドランド”の生態系がもたらす、絶望とワクワク感
まず、舞台となる惑星「バッドランド」の描き方が、本当に素晴らしかったです。
1作目のイメージでは、「プレデター=最強の捕食者」でした。しかし本作は、主人公のデクが「狩られる側」です。そんな彼が追放される「最悪の地」とは、一体どんな場所なのか。
映画が始まるとすぐに、デクは未知の生物に遭遇し、いきなり圧倒されます。 私たち観客が抱いている「プレデターなら負けないだろう」という先入観は、デク自身の自信とシンクロするように、見事に打ち砕かれます。

得体の知れない生物が、次から次へとデクを襲う。この視覚的な面白さ、そしてバッドランド特有の生態系を見ているだけで、心の底からワクワクしました。 「次はどんな生物が、どんなやり方でデクを苦しめるんだろう」と、序盤は終始スクリーンに釘付けでした。
この感覚、少し大げさかもしれませんが、初めて映画『アバター』を観た時に感じた、惑星パンドラの未知の生態系に触れた時の興奮に近かったかもしれません。 壮大なニュージーランドのロケで撮影されたという風景は、IMAXのスクリーンで観る価値が十二分にあります。
この「未知の恐怖を主人公と一緒に追体験する」感覚だけでも、107分を支える力は十分にあったと思います。 ですが、本作の凄さはそれだけではありませんでした。
魅力2:ありえない絆が生む「感情の核」
ポップコーンムービーとして終わらない深みを、本作は持っています。 それが、主人公デクと、エル・ファニングさん演じるアンドロイドの少女「ティア」との出会いです。
この設定が、本当に巧みでした。 ティアは下半身を失っており、デクは彼女を文字通り「バックパック」のように背負って移動することになります。まるで『スター・ウォーズ』のチューバッカがC-3POを背負う姿を彷彿とさせる、どこかコミカルで、不思議と愛着が湧いてくるビジュアルです。
デクはプレデター語しか話しません(ちゃんと字幕が出ます!)。でも、ティアには翻訳機能が備わっていて、二人は(ティア=英語、デク=プレデター語で)普通に会話できちゃうんです。
ここで初めて、デクにとっての「会話相手」が生まれます。
好奇心旺盛でおしゃべりなティアが、デクの(字幕で私たちにもわかる)ぶっきらぼうな発言にツッコミを入れたり、彼の真意や動機を引き出したりすることで、私たちはデクというキャラクターの内面をより深く知ることができます。
彼女は単なるお荷物や解説役ではなく、まさにこの物語の「心臓」そのものです。 エル・ファニングさんの、声と表情だけでティアの豊かな感情を演じる演技も見事でした。
この「怪物」と「アンドロイド」という、ありそうもない二人が過酷な旅を共にする中で、少しずつ絆を深めていく。この関係性こそが、本作の感情的な核となって、観客を強く惹きつけます。
魅力3:“解釈違い”を許さない、絶妙な「プレデターの成長物語」
本作が「主人公デクの成長物語」であることは間違いありません。 しかし、1作目しか見ていない私ですら、「あの狩りしか考えていなそうなプレデターが、どうやって人間的に成長するんだ?」という疑問がありました。
例えば、ティアがピンチになった時、デクがいきなり怒りを爆発させたり、復讐心に燃えたりしたら、観客としては「いや、そうじゃないだろ」と興覚めしてしまったかもしれません。プレデターが誰かのために感情をむき出しにする、という構図は、あまりにも「らしくない」からです。
では、どうやって「プレデターらしさ」を保ったまま、彼の内面的な成長を描くのか。
これが、本当に脚本が上手いと感じた点です。 本作のデクは、私たちが知る最強の戦士ではなく、一族から「はみ出し者」として見捨てられた、いわば「かませ犬」として設定されています。彼が戦う理由は、単なる狩猟本能だけでなく、一族に認められたいという「名誉の探求」や、自分自身の存在証明のためでもあるのです。

この設定があるからこそ、ティアとの出会いを通じて、彼が「力」だけではない「何か」を見出していく過程が、非常に自然に描かれます。 人間の言葉を話さず、表情もマスクで覆われているデクの葛藤や決意を、スーツアクターであるディミトリアス・シュスター=コローマタンギさんが、その卓越した身体表現で見事に伝えてくれます。
プレデターのファンが抱くであろうイメージ(いわゆる「解釈違い」)を巧みに避けながら、これ以上ないほど絶妙なバランスで、一人の戦士の成長物語を描き切っていました。
魅力4:「血」を捨て「ロマン」を選んだPG-13の英断
1作目といえば、R指定の容赦ない暴力描写も特徴でした。しかし、本作はPG-13指定。残酷な描写が苦手な方にも観やすくなっています。
「プレデターなのに手ぬるいのでは?」と思うかもしれませんが、これもまた、監督の「芸術的な必然」だったように感じます。 というのも、本作でデクが戦う相手は、ほとんどがバッドランドの「クリーチャー」であり、「人間」ではありません。だからこそ、R指定の「ゴア(流血)」を描く必要性が低かったのです。
監督が目指したのは、どうやら特定の人を襲う「スラッシャー映画」ではなく、ビデオゲームの『ワンダと巨像』や『World of Warcraft』のような、壮大な「SFアクション・ファンタジー」だったようです。 その結果、恐ろしいだけの怪物映画ではなく、どこか『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のようなユーモアと絆を感じさせる、心温まるロードムービーとしての側面も持つ、ユニークな作品に仕上がっています。
まとめ
というわけで、今回は映画『プレデター バッドランド』について語りました。 正直、まったく期待しないで観に行ったのですが、見終わった後は「期待を遥かに超える面白い作品に出会えた」と、思いのほか興奮してしまいました。
個人的には、1作目よりも遥かに感動的で、物語として深く、そして面白かったです。
私が感じたこの興奮は、どうやら私だけのものではなかったようで、映画批評サイトの「Rotten Tomatoes」でも85%(2025年11月9日現在)という、批評家からも非常に高いスコアを獲得しています。まさに「お墨付き」の面白さですね。
物語の終盤は、伏線が綺麗に回収されると同時に、「これは絶対に続くぞ!」と思わせる終わり方をします。(監督自身が三部作を構想しているとのことなので、納得です!) このあたりは、マーベル作品などにも通じる、本当に「今時」の映画の作り方だと感じました。
『プレデター』シリーズを追いかけてきたファンの方はもちろん、私のように「1作目しか見てない」あるいは「全く見たことがない」という方にこそ、ぜひ観てほしい作品です。
きっと、あなたの「プレデター」に対するイメージが、良い意味で覆されるはずです。 興味を持たれた方は、ぜひこの壮大な映像体験を、劇場で味わってみてはいかがでしょうか。
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。 皆さんは、もしプレデターと出会ってしまったら…どうしますか?(私は全力で逃げます!) よろしければ、皆さんのご感想もコメントで教えていただけると嬉しいです。
それでは、また次回の『ねことシネマ』でお会いしましょう。
- IMDb『プレデター バッドランド』
キャストやスタッフの詳しい情報、ユーザーからの評価やレビューなどが充実しています。英語サイトですが、作品の撮影秘話やTrivia(トリビア)も多く、さらに深く知りたい方にはおすすめです。