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【ネタバレあり】実写版『白雪姫』は大胆すぎ? 歌とストーリー改変を徹底レビュー

映画『白雪姫』基本データ

  • タイトル:『白雪姫』
  • 公開年:2025年
  • 監督:マーク・ウェブ
  • 主演
    • レイチェル・ゼグラー(白雪姫役)
    • ガル・ガドット(女王役) など
  • 上映時間:109分
  • 視聴方法
    • 全国劇場で公開中

はじめに

こんにちは。当ブログ『ねことシネマ』にお越しいただきありがとうございます。今回は、ディズニーが2025年に実写化したマーク・ウェブ監督の映画『白雪姫』を取り上げます。1937年に公開されたディズニー初の長編アニメをもとにしつつ、今回の実写版は現代的なアレンジが目立ちました。おかげで公開前から「Snow Woke(スノー・ウォーク)」なんて呼ばれてSNSで炎上したり、大きな話題になったりしていたんですよね。(詳しくは過去記事もどうぞ)実際、海外メディアの評でも「最新のディズニー実写版の中でも意外と魅力的」「映像の華やかさに圧倒される」といった肯定的意見から、「オリジナルへの不誠実さが目立つ」「脚本が粗い」といった厳しい見解まで、賛否が大きく分かれています。

そんな背景を踏まえて、私自身「自分の目で確かめもしないで批判だけするのはどうなのだろう?」と気になり、もともとディズニー作品が好きということもあって劇場へ足を運びました。とはいえ実はこの日、朝・昼・晩と3本の映画を続けて鑑賞したため、最後に観た『白雪姫』ではやや頭が回っていなかった面もあります。結果として辛口な意見も出てくるかもしれませんが、そこはあくまで個人の感想としてお読みいただければ幸いです。ストーリーの核心に触れるかもしれないので、ネタバレを気にする方はご注意を。また、もしすでに本作を大好きになった方がいらっしゃれば、お気を悪くされるかもしれませんので、その点もご了承ください。それでも大丈夫な方は、最後までお付き合いくださいね。


あらすじ

本作の大枠は「邪悪な女王に命を狙われた白雪姫が、森に逃げ込み、仲間と手を携えて立ち向かう」というおなじみの流れです。ただし、王子様が登場しない(代わりにロビンフッド風の山賊ジョナサンが相棒として加わる)、白雪姫は幼い頃から“リーダーになる素質”を託されている、などの大きな改変が序盤からガンガン盛り込まれています。毒リンゴや魔法の鏡といった鍵アイテムはしっかり登場するものの、話の展開やクライマックスはオリジナルアニメ版とはかなり異なるので、往年のファンは驚くかもしれません。

映画の感想(楽曲・演技編)

歌の力が最高水準

観終わって最初に思ったのは、「歌のパワーは間違いなく本物」ということ。主人公の白雪姫を演じたレイチェル・ゼグラーは、『ウエスト・サイド・ストーリー』のマリア役でも証明済みの通り、抜群の歌唱力と演技力を兼ね備えています。ディズニーが必要とする“プリンセスの歌声”として、これ以上ないハマり役だと感じました。

1937年版で馴染み深い「口笛ふいて働こう(Whistle While You Work)」や「ハイ・ホー(Heigh-Ho)」といった楽曲が、現代の実写映画的アレンジでよみがえるのはやはりワクワクします。また女王役のガル・ガドットが披露するソロ曲も見どころのひとつ。オリジナルにはなかったヴィランの妖艶な歌が追加されることで、物語がよりドラマチックに彩られていると感じました。

レイチェル・ゼグラーへの高評価

批評家のレビューでも総じて好評なポイントが、このレイチェル・ゼグラーの存在感です。可愛らしさと芯の強さを両立した演技で、いわゆる“受け身のお姫様”像を刷新しながらも、「白雪姫」と聞いてイメージする純真さや優雅さはきちんと表現しているように思います。彼女の繊細な表情と透き通る歌声を観るだけでも、本作に足を運ぶ価値はあるかもしれません。

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映画の感想(ストーリー改変編)

リメイクなら「最初は原作通り」→「最後にドン!」が効果的?

リメイク作品に関して、私がいつも思うのは「最初はある程度オリジナルに忠実に進めて、終盤でガラッと展開を変えるほうがインパクトがある」という点です。

  • ゲーム『ファイナルファンタジーVII リメイク』
    前半~中盤はPS版をなぞる形で進み、ラストで「実は全く違う道筋を辿っていくんじゃないか?」という大胆な伏線が提示されます。
  • 映画『胸騒ぎ』(2022年・クリスチャン・タフドルップ監督)とリメイク版『スピーク・ノー・イーブル 異常な家族』(2024年・ジェームズ・ワトキンス監督)
    原作となる北欧サスペンスの不穏な空気感を再現しながらも、後半で一気に仕掛けを深める演出が見どころです。オリジナルのテイストをキープしつつ、リメイクならではの要素をじわじわと積み上げたうえで、クライマックスで「やっぱり違う展開になった!」と驚かせる構成が効果的でした。

しかし、今回の『白雪姫』は序盤から別物感が強いと感じました。王子様が最初から登場しないうえに、白雪姫の境遇も「こんなのだったっけ?」状態。悪の女王や七人の小人、リンゴ、そしてキスなど、いわゆる“白雪姫”を象徴する要素は一通り入っているのですが、正直、「入れましたから、はい、これで“白雪姫”ですよね?」といった程度に思えてしまうのです。

たとえば毒リンゴが登場する展開はあるし、女王が魔法の鏡に向かって自らの美を問うシーンも用意されています。けれども、そのあたりの描写があまりにもサラッと流されていて、古典の魅力をしっかり掘り下げるというよりは「定番イベントをファンサービス的に置きました」といった印象が拭えません。もちろんリメイクだからオリジナルの筋書きをそのまま踏襲する必要はないと思いますが、じゃあ完全に新しい物語として革新的な仕掛けがあるのかといえば、それも中途半端に感じられてしまう。結果として、前半から「これ、本当に“白雪姫”と呼んでいいのかな?」という疑問が頭をよぎり、後半に向かう盛り上がりもいまひとつ盛り切らないのが残念でした。

もし大胆な改変をするなら、古典へのリスペクト観客をビックリさせる大胆なアイデアを両立してほしいところです。なのに本作は「アイコン的要素は入れるけど、まとめ方が弱い」という印象が強いため、いざクライマックスを迎えてもインパクトが薄い。最終的には「たしかにリンゴもキスも出てきたし、女王も小人もいるから白雪姫であることは間違いない。でも、それだけ?」という気持ちが残ってしまいました。オリジナルを大事にしつつ新要素で驚かせる道と、いっそ“全く別物”で突っ走る道のどちらにも振り切りきれず、中途半端に感じられるのはやはりもったいないと感じます。

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リベラル・フェミニズム要素と娯楽性のバランス

今回のリメイクでは、1937年版で指摘されがちな「受け身すぎるプリンセス像」を打破し、白雪姫を自ら運命を切り拓く強いヒロインとして再設定しています。これは現代のディズニー作品ならほぼ必須のアプローチとも言えますし、すでに『アナと雪の女王』や『塔の上のラプンツェル』などで実績のある形ですよね。

ただし、もともとの『白雪姫』は超有名な“キスで目覚めるお姫様”という構図が神話化しているほどなので、その部分を否定すると「じゃあ別のプリンセス物語でよかったのでは?」という声が出ても不思議ではありません。加えて、公開前の段階で「小人の描写が差別的かどうか」「主演がラテン系女優なのは原作に合わない」など、いろいろな炎上があったため、結果として社会的メッセージを盛り込みつつも、どこか全体的に「あれも配慮」「これも配慮」という印象を受けました。

娯楽映画なら娯楽映画としての爽快感や冒険感がもっと欲しかったのが正直なところ。せっかくマーク・ウェブ監督が大作スケールのアクション・ファンタジーに挑んだのに、その醍醐味が今ひとつ活ききっていないと感じたのは残念です。


まとめ

結論として、本作は「そこまで酷評されるほどではないが、絶賛できるほどでもない」と私は感じました。映像美や楽曲のクオリティは高く、レイチェル・ゼグラーの歌声と演技に魅了されるシーンも多いので、「ディズニーのミュージカルを観たい!」という方なら一見の価値があります。実際、批評家の多くも楽曲パートには好意的ですし、プレミア上映でもミュージカルナンバーに大きな拍手が起こったとのレポートが出ています。

一方で、ストーリーの改変が序盤から盛りだくさんすぎるため、古典的な『白雪姫』に期待していると「ん?こういう話だっけ?」と戸惑う可能性が高いです。フェミニズム的な要素自体は否定しませんが、オリジナルの魅力をどう活かすか、あるいはあえてどこまで壊すか――そのバランスが粗く、やや消化不良でした。正直、私自身は「もう一度観たいか?」と聞かれれば、あまり積極的には頷けないというのが本音です。

ただし、ディズニー作品に限らず「観もしないで酷評する」というのは避けたいところ。もし興味があるなら、ぜひ劇場や配信で一度ご自身の目で確かめてみてください。もしかしたら、私とは違った楽しみ方が見つかるかもしれませんし、レイチェル・ゼグラーの白雪姫があなたの心にしっくりくる可能性だってあります。最終的には各自の感想・解釈が一番大事ですからね。

もし本作をすでに観られた方がいらっしゃれば、コメントでのシェアをお待ちしています。皆さんの感じたことをぜひ聞かせてください。それでは、また次回のレビューでお会いしましょう。今後とも『ねことシネマ』をどうぞよろしくお願いいたします。

休日やちょっとした休憩時間に、現代版『白雪姫』の世界をのぞいてみるのも悪くないかもしれません。
作品が合わないことももちろんありますが、そこも含めて映画鑑賞の醍醐味ですよね。

IMDb『白雪姫』
キャストやスタッフの詳しい情報、ユーザーからの評価やレビューなどが充実しています。英語サイトですが、作品の撮影秘話やTrivia(トリビア)も多く、さらに深く知りたい方にはおすすめです。

  • この記事を書いた人

HAL8000

映画と猫をこよなく愛するブロガー。 多いときは年間300本以上の映画を観ていて、ジャンル問わず洋画・邦画・アニメ・ドキュメンタリーまで幅広く楽しんでいます。

専門的な批評はできませんが、ゆるっとした感想を気ままに書くスタンス。 ブリティッシュショートヘア×ミヌエットの愛猫ハルも自慢したいポイントで、レビューの合間に猫写真や日常もたまに紹介しています。

当ブログ「ねことシネマ」で、映画好き&猫好きの皆さんに楽しんでいただけると嬉しいです。
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