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【ネタバレなし】『ミッキー17』で体感するポン・ジュノ流SF!クローン社会のブラックユーモアを語る

映画『ミッキー17』基本データ

  • タイトル:『ミッキー17』(英題:Mickey 17)
  • 公開年:2025年(韓国、米国、日本)
  • 監督:ポン・ジュノ
  • 出演:
    • ロバート・パティンソン(ミッキー・バーンズ)
    • マーク・ラファロ(ケネス・マーシャル)
    • トニ・コレット(イルファ)
    • ナオミ・アッキー(ナーシャ) ほか
  • 上映時間:137分
  • 視聴方法:全国劇場にて公開中(IMAX版あり)

この記事でわかること

  • 『ミッキー17』のあらすじと近未来SFとしての特徴
  • ポン・ジュノ監督が描く社会風刺やテーマ性
  • クローン設定が生み出すユーモア&サスペンス要素
  • IMAX鑑賞の魅力と、劇場体験をおすすめしたい理由
  • 猫好き視点(当ブログ的な小ネタ)で思う、命の価値と多様性

はじめに

こんにちは。当ブログ『ねことシネマ』へようこそ。今回は、ポン・ジュノ監督の新作『ミッキー17』をご紹介します。監督が2019年の『パラサイト』でアカデミー賞作品賞を受賞してから、実に6年ぶりの新作ということで、公開前から大きな期待と話題を集めていました。私も「これは見逃せない!」と、公開初日にIMAXシアターへ足を運んだところ、想像以上に“ポン・ジュノ流”の社会風刺が効いたSF映画で大満足でした。

実は私の地元・群馬県にもIMAXシアターが最近オープンしたばかりで、プレオープン時に『ウィキッド ふたりの魔女』を観に行きました。ただ、今回『ミッキー17』を鑑賞したのは埼玉県内のIMAXシアター。広いスクリーンと迫力ある音響のおかげで、映像表現を余すところなく堪能できました。アスペクト比1.85:1をフルに生かしたカットや、耳をふさぎたくなるほどの音響演出はまさに劇場ならでは。こういった体験をするたびに、映画館の空間の力を改めて実感しています。前橋IMAXについても後ほどレポート記事を投稿しますので、詳細はそちらで!

それでは、作品の大まかな内容や魅力をライトにご紹介していきます。ちょっとだけSF要素やクローン設定の話に触れるので、ネタバレが気になる方はご注意くださいね。

あらすじ

物語の舞台は西暦2054年、極寒の惑星ニフルハイム。地球からやってきた植民地団がこの未知の地で必死に生き延びようとしています。その中で“エクスペンダブル”と呼ばれる特異な任務を担うのが主人公のミッキー・バーンズ(ロバート・パティンソン)。彼は危険な作業で命を落としても、最新技術によって蘇生・再生される「使い捨て要員」です。

とはいえ、死んだら何度でも生き返るからといって、決して楽なわけではありません。死の痛みは毎回リアルに襲いかかり、上層部の権力者たち(演:マーク・ラファロ、トニ・コレット)の命令で過酷な任務へ次々と送り出される日々。さらにある“手違い”をきっかけに、もうひとりのミッキー(別のクローン体)が現れたことで、事態は混乱を極めていきます。使い捨てにされるばかりだったミッキーは、はたしてそこからどう“反撃”に転じるのでしょうか。

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作品の魅力

ここから先は、作品のテーマや演出面などをもう少し掘り下げていきたいと思います。ネタバレは最小限にとどめますが、物語の展開に関わる要素に触れるため、ご注意ください。

SF×社会風刺の融合

ポン・ジュノ監督といえば、過去作でも格差社会や環境問題を鋭く描いてきました。今回の『ミッキー17』も、クローンを使い捨てる設定を通じて「弱者を搾取する構造」を浮き彫りにしています。地球の環境が破壊され、「新天地へ行けばいい」と宇宙へ飛び出す億万長者や権力者の姿は、現代社会にも通じる風刺となっているように思えました。

一方で、本作はあからさまに暗いトーンというわけではありません。ブラックユーモアやちょっとしたコメディ要素が散りばめられていて、観ていて重苦しくなりすぎないバランスが魅力的。猫でたとえるなら“気まぐれにカーテンを引き裂くかと思いきや、次の瞬間にはスリスリ甘えてくる”みたいな、独特の落差が楽しめる映画です。

クローン設定が生む面白さ

本作の主軸といえるのが「死んでも蘇るミッキー」という斬新なアイデア。17回死んで17回生き返った男と、18番目に生成された自分のコピー。見た目は同じはずなのに、性格や考え方が微妙に異なるところがとても面白いんです。ロバート・パティンソンはこの“一人二役”を巧みに演じ分けていて、臆病で頼りない17番目と、どこかアウトロー的な18番目のギャップが見どころになっています。

自分と同じ顔の別人がいる――という状況に陥ったとき、人はどう振る舞うのか? この問いが物語全体に小さなスリルと笑いをもたらし、同時に「命の価値」を根源的に考えさせます。

圧巻の映像&音響(IMAX推奨)

惑星フルハイムの氷点下の風景や、コロニー船内部の未来的デザインは、SF好きにはたまらないビジュアルです。IMAXで観ると、吹雪や爆音、そして何より「死」を迎える瞬間の衝撃などが体に響いてくるようでした。傑作SF「エイリアン」を思い出させるホラー寄りの演出もあり、ホラー苦手な方にはドキドキかもしれませんが、スペクタクル感は存分に楽しめると思います。

音響面では、未知の生物と対峙する場面や、ドカンとくる爆発音などが特に印象的。自宅視聴だと味わえない「耳をふさぎたくなるような臨場感」があり、劇場体験の醍醐味を存分に感じました。

ポン・ジュノならではの多彩なジャンル要素

『ミッキー17』には、ホラー的な緊張感やコメディ的な軽妙さ、そして人間ドラマの奥行きまで詰まっています。監督の過去作『パラサイト』や『オクジャ』同様、一言では言い表せない“ジャンル混在”の妙味があるのが特徴です。格差社会の暗喩がありつつも、決して説教臭くはなく、エンターテインメントとしての面白さを優先している印象。ですので、“社会派映画はちょっと苦手”という方でも、自然と作品世界に入り込めるはずです。

まとめ

上映時間は137分と長めですが、個人的には最後まで集中が途切れることなく楽しめました。弱者と権力者の対立構造や、死んでも蘇るクローンの設定は重たいテーマをはらみつつも、ポップに仕立てられているので観やすさも◎。人によっては「もっとシリアスに突き詰めてほしかった」と思うかもしれませんが、そこはポン・ジュノ作品特有のユーモアやエンタメ性が活きていると感じました。

当ブログ『ねことシネマ』としては、“何度でも生き返る使い捨てワーカー”という皮肉なコンセプトに、猫的な「9回生きられる命」という伝説を連想しました。もっとも、猫が持つといわれる“9つの命”はあくまで比喩であり、それをこれだけシリアスなテーマにつなげてしまうポン・ジュノ監督の想像力には脱帽です。

こんなに可愛いなら、9回どころか100回でも生きてほしい――本作鑑賞後は、なおさらそう思っちゃいます。

みなさんもぜひ劇場でこの近未来を体感してみてはいかがでしょうか? クローンや宇宙探検といったSFに興味がある方はもちろん、骨太の社会風刺やエンタメ作品が好きな方にもおすすめです。「IMAX版での迫力は一見の価値あり!」と断言します。観終わったら、あなた自身は何度でも死をやり直せる存在になりたいと思うか、それとも――? ぜひ感想や考えをコメントで教えてください。

  • IMDb『ミッキー 17』
    キャストやスタッフの詳しい情報、ユーザーからの評価やレビューなどが充実しています。英語サイトですが、作品の撮影秘話やTrivia(トリビア)も多く、さらに深く知りたい方にはおすすめです。
  • この記事を書いた人

HAL8000

映画と猫をこよなく愛するブロガー。 多いときは年間300本以上の映画を観ていて、ジャンル問わず洋画・邦画・アニメ・ドキュメンタリーまで幅広く楽しんでいます。

専門的な批評はできませんが、ゆるっとした感想を気ままに書くスタンス。 ブリティッシュショートヘア×ミヌエットの愛猫ハルも自慢したいポイントで、レビューの合間に猫写真や日常もたまに紹介しています。

当ブログ「ねことシネマ」で、映画好き&猫好きの皆さんに楽しんでいただけると嬉しいです。
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